心の負担
ある学校でのお話です。・・・
下校時になると決まって校長室の窓をたたく子どもがいました。窓を開けてしばらくお話し相手をしてあげると「諦めたような表情で」校門の方に向かっていきます。最初の数回は、学校で何かつまらないことでもあったのかな、と心配した校長先生でした。
担任教師と話をしてみました。「もしかして、学級内でいじめでもおきていては?」と自問しながら学級生活での様子をしっかり見詰めてくれたようです。それらしき光景もなく、友人達の情報からも学級での生活が原因ではないとの結論に達したのでしょう。担任が家庭訪問のことを切り出しました。校長先生に言われて「気になっていた」ことにハッとしたと言うのです。
期待する余りに過剰な要求やハイレベルでの成果を求めているようなお母さんだと言うのです。幼い頃からバレエを習っていて、将来はマドンナ役をやらせるのがお母さんの夢だとも担任には分かっていました。
校長室の窓を叩いていた曜日が判明しました。その日がバレエのお稽古日だったのです。担任教師と分担しました。担任教師は、学級生活の中で出来るだけ多くの会話をすること、校長先生は窓を叩
かない日でも下校する姿に「こちらから」声を掛けてお話しをしてみること。本人からの本音の心情を聞き取ることに努めました。
午後から雨になった日でした。傘を届けてくれるお母さんやお家の人を待っている子ども達の姿が見えました。その子もいました。いつまで経っても帰ろうとしない様子だったので校長先生から声を掛けました。「お母さん遅いね。道路が混んでいるのかね。」と。窓に近づいてきて大粒の涙をこぼし出しました。お母さんを待っているのではないと言うのです。雨はどんどん酷くなりました。
校長室に入るように指示して担任も呼びました。担任の心配は的中しました。バレエのお稽古が負担だというのです。発表会の配役が発表されるのが怖くて仕方がないと大声で泣き出しました。
大雨の中、車で自宅まで送り届けながら「家庭訪問」するように担任に指示しました。翌日の報告を受けました。「学校には無関係」だから余計な指導は迷惑だとのこと。
お母さんから「おかえりなさい」を優しく言ってもらうのが夢だと言う。お勉強もしっかり取り組む頑張りやさん。お母さんのことも大好きだと言う。「お母さんの喜ぶ顔」のために、自らを窮地に追い込んででも「頑張る」と言い切る子どもがいるのです。校長先生の心は晴れませんでした。
・・・
あなたの子育てはいかがでしょうか。
見つめなおしてみてください。
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