麻酔科医の不足
全国の周産期母子医療センターの約3分の2が、国の整備指針に反して「(必要と診断されてから)30分以内の帝王切開手術」に対応できない場合があることが、厚生労働省研究班の調査で分かりました。
産科医よりも麻酔科医の不足がネックになっており、厚労省が年度内に見直すセンターの指定基準に麻酔科医の定員を明記するよう求める声が出ています。
調査は昨年3月、全国の総合周産期センターと地域周産期センターに行い、130施設の回答を調べました。
国の指針では、地域センターは30分以内に帝王切開ができる人員配置、総合センターにはそれ以上の対応を求めています。しかし「いつでも対応可能」と回答したのは総合センターの47%、地域センターの28%にとどまり、48%は「昼間なら対応可能」、17%は「ほぼ不可能」と答えました。
対応が遅れる最大の理由は「手術室の確保」(43%)でしたが、人的要因のトップは「麻酔科医不足」(25%)で、「産科医不足」(17%)、「看護師不足」(14%)より多かったです。54%の施設は当直の麻酔科医がおらず、緊急の帝王切開では執刀の産科医が麻酔もかけているセンターが16%ありました。
麻酔科は産科、外科などと並び医師不足が深刻とされますが、帝王切開で通常かける麻酔の診療報酬が全身麻酔の場合より著しく低いため、特に周産期医療の現場に集まりにくいとの指摘があります。
「リスクの高い妊婦を受け入れるセンターには産科手術専属の麻酔科医の配置を義務付け、人員確保がしやすいように診療報酬を加算すべきだ」という声があります。
C型肝炎
C型肝炎患者約700人でつくる「薬害C型肝炎新潟の会」は、自身が肝炎患者であることを明記し、注意を喚起する携帯カードを作成しました。
交通事故など不測の事態で出血し、本人が意思表示できない場合を想定しています。救急隊員や医師などの感染を防ぐのが狙いです。全国の肝炎患者団体などにカードの作成を呼びかけます。
手作りのカードは名刺サイズで、身分証明書のように携帯できます。
「私はC型肝炎です。血液の取り扱いに御注意ください」と記され、患者本人が氏名や通院中の医療機関名、カルテ番号を書き込みます。
昨年6月に東京・秋葉原で起きた無差別殺傷事件では、被害者の中にB型肝炎ウイルスの感染者がいたため、救助を手伝った人への感染が心配されました。
「感染の可能性は低くても患者自身が二次感染を防ぐ努力をし、不安な思いをする人を減らしたい」とカードを発案したそうです。歯科治療などで出血を伴う際にも医師に提示して役立ててもらいます。
がん切除に新手法の期待
東京大学とオリンパスの共同研究グループは、体内にできたがんをほぼ確実に切除する新手法を開発し、動物実験で効果を確認したそうです。
特殊な薬剤を使ってがん細胞だけを光らせ、内視鏡などで切り取ります。1ミリメートルのがんも残さずに手術することが可能で、再発防止につながるということです。
人間への応用を目指して米国立衛生研究所(NIH)と組んで治験を進める計画です。
実用化が期待されますね。
甲状腺がん
まず、甲状腺と聞いても、胃や腸、肝臓などと違ってあまりなじみのない臓器かもしれません。
甲状腺は首の前にあり、チョウが羽をひろげたような形をしていますが、腫れたり、しこりができたりしない限り、普通は皮膚の上からはっきり触ることはありません。
しかし、甲状腺は人間にとって他の臓器と同様に大事な働きをしており、もし甲状腺がなければ、人間は大人に発育できず、大人になってからも体に変調をきたします。
甲状腺は甲状腺ホルモンを出す器官であり、甲状腺ホルモンは体の維持と代謝にとってなくてはならないものだからです。
ですから残念ながら病気で甲状腺をとった方は一生、甲状腺ホルモン薬、および場合によってはカルシウム薬を飲み続ける必要があります。
甲状腺がんは女性に多い病気のため、前は乳がん検診と一緒に甲状腺がん検診を行っていました。しかし、乳がん検診が、触診とレントゲン撮影(マンモグラフィー)による二本立てによって早期発見に貢献しているのに対し、甲状腺がん検診は触診が主体であり、その発見率が非常に低いため、最近、検診項目から外れました。
大きな甲状腺のしこりであれば、首を触れば分かります。かなり大きくなると、甲状腺の裏にある気管や食道、神経などを圧迫するので、首に違和感がでてきたり、息が苦しくなったり、食事の飲み込みが悪くなったり、声がかすれてきたりするので、受診するきっかけになります。
しかし、検診では、そういった症状がでない、まだごく小さいしこりを発見していかなければならないので、技術的に大変難しくなります。
実際、甲状腺がんで手術を受けられている方の多くは、別の検査で偶然見つかっています。乳がん検診でひっかかって、精密検査をしたときに偶然見つかったり、甲状腺の別の病気で定期的に通院していて、たまたま超音波検査で発見されたり、最近、全身のがん検診につかわれているPET(ペット)検診で見つかる方もいます。
なかには、初めにリンパ節の転移や、肺の転移、骨の転移が見つかり、その後の精密検査で甲状腺がんが見つかる方もいます。このようなことで、あまり有効な甲状腺がん検診の方法はないのかもしれません。
同様に、有効ながん検診の方法がないがんに、膵(すい)がんがあります。膵がんは、かなり大きくなって初めて症状がでますが、膵臓が体のすごく奥にあるため検診は難しいと言われています。
しかし、甲状腺がんが膵がんと大きく違う点があります。それは、膵がんがとても進行の早いがんで、生命を脅かす病気であるのに対し、甲状腺がん全体の90%を占める乳頭がんはとても進行の遅い病気です。
甲状腺がんのごく一部には、未分化がんといって、進行の早いものもあることはありますが、大部分は、ゆっくり進行するもので、大きさが5ミリ以下の甲状腺がんは治療がいらないと言われているほどです。
甲状腺がんに対する治療として、手術がまず行われます。手術は、耳鼻科医が行う病院もありますが、現時点では外科医が行うところの方が多いと思います。早期の甲状腺がんは手術でがんを取り去ることで、完治が望める、という特徴があります。
残念ながら、リンパ節にたくさん転移していたり、肺や骨などに転移していたりした場合は、甲状腺の手術をした後、放射線の治療をします。効果があるうちは、放射線の治療を繰り返し行います。甲状腺がんに有効な抗がん剤はないそうです。
甲状腺がんはどうしてできるのでしょうか。
放射線をあびるとなりやすいとか、遺伝が関係しているなどと言われています。確かに、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故の後、近隣で甲状腺がんにかかる人が増えたと言われており、放射線被曝(ひ・ばく)と甲状腺がんは関係あると考えられます。
また、頻度は少ないですが、遺伝が関係しているタイプの甲状腺がんもあります。それは髄様がんとよばれている種類のうち、約40%を占めると言われており、遺伝子を調べれば分かります。
もし、そういう遺伝子を持っていて、将来、甲状腺がんが発生すると分かった場合には予防的に手術で甲状腺をとる必要があります。
しかし、多くは放射線被曝もせず、遺伝的素因もない方が甲状腺がんになっており、大部分の甲状腺がんは原因不明と言わざるを得ません。
甲状腺がんは、比較的若い方から中年の方まで広い年齢層(30~50歳)で発見され、1千人に1人の割合と言われています。しかし、甲状腺がんの死亡率は人口10万人当たり0・8人であり、全悪性腫瘍(しゅ・よう)による死亡数の0・4%と少ないことが分かっています。
つまり、甲状腺がんにかかった方100人のうち約1人しか、甲状腺がんで亡くならないということです。
言い換えれば、甲状腺がんが見つかっても、きちんと治療(手術)がなされれば、きちんと治すことができることを示しています。
前述のように、甲状腺がんの検診は難しいかもしれませんが、甲状腺というものは皮膚のすぐ下にある臓器で、大きなしこりであれば自分の手で触ることができます。
乳がんでは、今、自己検診といって自分で乳腺をチェックすることがとても浸透しつつありますが、乳腺のチェックに続き、さらに首の前(甲状腺)もチェックしてもらえれば一石二鳥と言えると思います。
野菜は◎ 果物は△
野菜を多く食べる人は、少ない人に比べ、肝がんを発症する危険性が4割低くなりますが、果物の取り過ぎは逆にリスクを高める可能性が高いことが、厚生労働省研究班の調査でわかりました。
研究班は40~69歳の男女約2万人を約12年間、追跡調査しました。野菜や果物の摂取量の多寡で「多」「中」「少」の3グループに分け、肝がん発症との関連を調べました。
この期間中、約100人が肝がんになり、うち8割はB型かC型の肝炎ウイルスに感染していましたが、野菜摂取量「多」のグループは「少」に比べ、肝がんの発症率が約40%低かったそうです。一方、果物摂取量「多」のグループは「少」に比べ、発症率が45%高まっていました。
緑黄色野菜に多く含まれるカロテンは肝がん予防作用が確認できましたが、果物に多いビタミンCは肝がんの危険性を高める傾向がありました。
ビタミンCには肝炎の原因となる鉄分の吸収を助ける作用もあるため、発症率が高まるらしいということです。
幸福な人生
この世の中には「幸福な人生」を歩む人と、「不幸な人生」を歩む人がいます。
この違いはどこにあるかといいますと、「幸福な人生」を歩む人は自分自身に深い関心をもち、自分自身を正しく理解するよう努めています。
これに対して、「不幸な人生」を歩んでいる人は自分自身に無関心な生き方をしています。そのために、自分自身に対して間違った考え方をしてしまっています。
フランスの有名な作家スタンダールもこう述べています。
「人生のほとんどすべての不幸は、自分に関する事柄について誤った考え方をするところから生じる」
これを言い換えれば、「人生のすべての幸福は、自分に関する事柄について正しい考え方をするところから生じる」ということになります。
たとえば、「幸福な人生」を歩んでいる人は、人間(自分)はもともと「夢を実現するために生まれ、それができるようにできあがっている」ということをよく知っていて、その特権を享受しています。
反対に、「不幸な人生」を歩んでいる人は、そういうことを知らずに夢をもたない行き当たりばったりのその日暮らしの人生を、ただ漫然と送っています。
船にたとえれば、めざす「港」をもつ船と、広い海をただ漂う船の違いです。「めざす港をもたない船には、風も手伝うことはできない」と十九世紀フランスの思想家モンテーニュも言っているように、風を味方にできない船は、やがて大海のもくずと消えてしまいます。
「世に生を得るは事を為すにあり」と、坂本龍馬の名言にもあるように、わたしたちは事【立派な仕事、使命】を為すために生まれ、それができるように初めからつくられているからです。
それに、フランスの哲学者アラン(1868~1951)が「人間は意欲して創造することによってのみ幸福である」と、『幸福論』の中で述べているように、幸福は意欲をもって創造的に生きる人のところにしか訪れてはくれないからです。
人間にしかない持ち味
「人間」として生まれてきた幸運を生かすには、まず人間にだけ 授かっている固有の持ち味(特性)を知ること、そしてそれを発揮 して、世の中のために役立つことをすることです。
わたしたち人間には、人間にしかない持ち味というものがありま す。人間に進化する過程で獲得した新しい(特有の)能力や性質が それです。それを生かすことが人間らしく生きることの根本である ということです。したがって、何を得たかを知ることが何よりも肝心なわけです。
まず第一は、「我思う故に我在り」(デカルト)「人間は考える 葦である」(パスカル)という先哲の名言にもあるように、「思い 考える力(思考力)」です。
現在地球上で生きている生物は、みな特別な能力を少なくとも一つは持っていて、それを生かすことによって生活しています。人間でいえば、「考える」という能力がそれにあたるというわけです。
ですから、ここで大切なことは「考える」とはどういうことか、をよく知ることです。
考えること(思考)の最大の特徴は、考えたとおりのことが実現する方向に「力」となって働くところにあります。ですから、常に前向きに積極的(創造的)な考え方をするように心がけることが大切です。
次は「向上心」です。人間には本来自分を磨き、高め、みんなに信頼され、尊敬されるようなりっぱな人間になりたいという心があり、それを積極的に生かすことが充実した人生につながるのです。
「バカ」といわれると腹が立つのがその証です。
この向上心が、なぜ人間に与えられているかといえば、人間は進化にむかって前進していく必然性があるからです。
というのも、この宇宙には、万物を進化の方向に運んでいくという秩序が成り立っているのです。そして、現在わたしたちは、この宇宙(自然界)の秩序にしたがって、人間という最高レベルの生物に たっしているわけです。したがって、これから先もこの秩序を守りながら、進化の流れに順応した生き方が、自己の向上につながる賢い生き方といえます。つまり、人間の場合の進化は、あくまでも人間自身が「主体性」をもってつくりだしていくのが特徴で、いわゆる生物の進化とは本質的に違うわけです。
「働く」ということ
人生でとくに大事なことは「働くこと」、ことの大小を問わず、仕事を
一つひとつ達成していくことです。
人間は働かないと生きていくことができない生き物です。お金に不自由しない人でも、働かないと
人間がだんだん退化してダメになってしまいます。仕事は人間の生きがいにつながっているからです。
『考える人』などの作品で有名なフランスの彫刻家ロダン(1840~1917)もこういっています。
「仕事は生活の方便ではない。生活の目的である。働くということは、人生の価値であり、人生の歓喜であり、人生の幸福なのである」
つまり働くことは、個人にとっては、人生の柱、社会にとっては社会存続の柱となっているのです。働くことが、人類最大の行事で、生きることそのものである、といわれる理由もそこにあります。
この生きることそのものであることを「自己実現」といいます。
自分の夢を実現する、自分をすばらしい人間に磨きあげる(向上させる)、目標を次々に達成していくというように、人間は本来「自己実現」を信条として生きるように設計されてこの世に生を得るのです。
明治時代の大実業家もこう述べています。
「人がこの世に生まれてきた以上は、自分のためだけではなく、必ず何か世のためになることをやる義務があると、わたしは信じている。つまり人は生まれるとともに天の使命を受けているのである」
人間らしい生き方の基本は、自分からすすんで(考えて)、為すべきテーマ(創造的目標)や方針を決め、その達成(実現)に向けて生き生きと取り組むスタイルということになります。
「野菜」の安全性
野菜の化学肥料や農薬が気になるという方も増えています。
化学肥料を使いすぎたものは、窒素成分が増え、葉の緑の色が濃く'硝酸態窒素'という発ガン性物質を多く含んでいるといわれています。
化学肥料や農薬は、ハウス栽培だとハウスの中にこもってしまいます。
一方、露地栽培は、土地に適した旬のものを作っているので使用量が少なくてすみます。
キノコの菌床栽培にも 殺菌剤・防カビ剤などの農薬が使われていますので、シイタケなどは値段が高くなりますが、原木栽培のほうが安心です。
有機JASマークの規定は、たい肥などで土作りをし、種まき、または植え付け前の2年以上禁止された農薬や化学肥料を使わない田畑で栽培されたものです。
栽培中も 禁止された農薬・化学肥料を使わず、遺伝子組み換えも認められていません。
「特別栽培農産物」は、その地域の一般的な栽培と比べて農薬の使用回数が5割以下、化学肥料の窒素成分が5割以下で栽培されたものです。
「エコファーマー」は、土作りや化学肥料、農薬について「持続性の高い生産方式」を計画して都道府県知事の認定をうけた農業者のことです。
2006年5月、 残留農薬について「ポジティブリスト制」が導入され、中国産のものの安全性が確かめられています。
一方、国産でも残留農薬の多いものがありますので、できれば、有機などマークのついた野菜を選ぶと安心といえるでしょう。
大豆
大豆製品をたくさん食べる女性は、あまり食べない女性に比べて肝臓がんになる危険性が3~4倍に高まることが、厚生労働省の研究班の大規模調査で分かりました。
大豆に含まれるイソフラボンは、乳がんのリスクを減らすことが知られており、研究班は「食事を通して適度に取るのがいい」としています。
研究班は93年から05年まで、6府県の男女約2万人(開始時40~69歳)の健康状態を追跡しました。うち101人(男性69人、女性32人)が肝臓がんになりました。アンケートで大豆食品をどれぐらい食べるかを尋ね、イソフラボンの2成分の摂取量と発症との関連を調べました。
その結果、摂取量とリスクの関連が明らかになったのは女性だけで、摂取量が最も多い群(1日あたり豆腐80グラム以上、納豆3分の2パック以上)が肝臓がんになるリスクは、最も少ない群(同豆腐40グラム未満、納豆3分の1パック未満)のリスクの約3・2~3・9倍でした。
研究班によると、イソフラボンの分子構造は、女性ホルモンのエストロゲンに似ているということです。エストロゲンは乳がんのリスクを高める半面、肝臓がんには予防作用があり、イソフラボンの過剰摂取がこうした作用を妨げると考えられます。
研究班は「肝臓がんの最大のリスク要因はB型、C型肝炎ウイルス。女性の場合、まず感染の有無を調べ、感染が分かれば大豆製品の取りすぎに注意してほしい。感染していなくても過度の取りすぎには注意が必要」と指摘しています。
子どもの課題
子どもたちは親の姿、生き方を見て育ちます。子どもの課題の多くは家庭の問題です。あいさつ、食事、服装、髪型、ことば遣い、生活習慣、物の見方・考え方、趣味、学びや学校についての考え方、
読書傾向など、すべてにわたって大きな影響力があります。
特に幼児期のしつけは大切です。子育てでよく使われる話ですが、徳川家康が幼名・竹千代時代、三河から駿府の今川義元のもとに人質として預けられたときのこと。家臣が義元に竹千代の養育方針を尋ねたところ、「夏の暑い最中には涼しく、冬の寒い最中には暖かく、何不自由なく育てるように」と命じたと言われています。戦国武将として家臣を統率していくために必要な、知力、決断力、持久力、武力、先見性などの資質が育たないように養育しようとしたわけです。
この事例を反面教師として考えますと、今の時代の子育てにも通じています。子どもたちを取り巻く社会環境の劣化、少子化問題、核家族化などさまざまな状況の中で、過保護、無関心、虐待など、考え方によっては戦国時代より子育てがむずかしい現在です。
家庭の役割として、世の中の規範を教える、示すことが大切です。
何不自由なく、わがままいっぱいに育てることが大切に育てることではありません。厳しく、あたたかく育てること、そして「だめなものはだめ」と育てることが大切に育てることなのです。
両親で家庭の教育について同じ歩調でよく話し合っておくことが大切です。その上で、それぞれの役割を果たしてほしいと思います。厳しく諌めることも必要ですが、子どもたちと一緒にお風呂に入ったり、一日の出来事を聞いたり、休みの日には出かけたり、いろんな姿をみせてほしいです。
心の負担
ある学校でのお話です。・・・
下校時になると決まって校長室の窓をたたく子どもがいました。窓を開けてしばらくお話し相手をしてあげると「諦めたような表情で」校門の方に向かっていきます。最初の数回は、学校で何かつまらないことでもあったのかな、と心配した校長先生でした。
担任教師と話をしてみました。「もしかして、学級内でいじめでもおきていては?」と自問しながら学級生活での様子をしっかり見詰めてくれたようです。それらしき光景もなく、友人達の情報からも学級での生活が原因ではないとの結論に達したのでしょう。担任が家庭訪問のことを切り出しました。校長先生に言われて「気になっていた」ことにハッとしたと言うのです。
期待する余りに過剰な要求やハイレベルでの成果を求めているようなお母さんだと言うのです。幼い頃からバレエを習っていて、将来はマドンナ役をやらせるのがお母さんの夢だとも担任には分かっていました。
校長室の窓を叩いていた曜日が判明しました。その日がバレエのお稽古日だったのです。担任教師と分担しました。担任教師は、学級生活の中で出来るだけ多くの会話をすること、校長先生は窓を叩
かない日でも下校する姿に「こちらから」声を掛けてお話しをしてみること。本人からの本音の心情を聞き取ることに努めました。
午後から雨になった日でした。傘を届けてくれるお母さんやお家の人を待っている子ども達の姿が見えました。その子もいました。いつまで経っても帰ろうとしない様子だったので校長先生から声を掛けました。「お母さん遅いね。道路が混んでいるのかね。」と。窓に近づいてきて大粒の涙をこぼし出しました。お母さんを待っているのではないと言うのです。雨はどんどん酷くなりました。
校長室に入るように指示して担任も呼びました。担任の心配は的中しました。バレエのお稽古が負担だというのです。発表会の配役が発表されるのが怖くて仕方がないと大声で泣き出しました。
大雨の中、車で自宅まで送り届けながら「家庭訪問」するように担任に指示しました。翌日の報告を受けました。「学校には無関係」だから余計な指導は迷惑だとのこと。
お母さんから「おかえりなさい」を優しく言ってもらうのが夢だと言う。お勉強もしっかり取り組む頑張りやさん。お母さんのことも大好きだと言う。「お母さんの喜ぶ顔」のために、自らを窮地に追い込んででも「頑張る」と言い切る子どもがいるのです。校長先生の心は晴れませんでした。
・・・
あなたの子育てはいかがでしょうか。
見つめなおしてみてください。
寺子屋
江戸時代の人々は寺子屋で読み・書き(時にそろばん)を学んでいました。寺子屋では子どもたちはどのように学んでいたのでしょうか。
朝、子どもは寺子屋に行くと、まず自分の机を並べます。師匠が自宅で寺子屋を開いていることが多いので、学習が終わると子どもたちは机を片付けて、師匠が生活できるようにしてから帰るのです。寺子屋では学校で行われるような「授業」はありません。子どもは師匠がその子に合わせて選び、書いてくれたお手本を何度も練習して覚えます。当時は紙が大変貴重品でしたから、子どもは筆で文字を書いては紙を乾かし、またその上から文字を書くということをしていて、練習帳(これを「手習草紙」【てならいそうし】といいます)は真っ黒になっていました。
ちなみに勉強をしたくない子は、持っている練習帳を全てわざと水で濡らして「もう勉強できません」などと言う子もいたそうです。また「いきは牛 帰りは馬の 手習子」という川柳も残っています。「手習子」というのは寺子屋に通う子どものことですが、寺子屋に行くのはいやなので牛のようにゆっくりと歩いていき、終わると大喜びで走って帰ってくるという子どもの様子が目に浮かぶようです。そんな子どもたちを相手にしていた寺子屋師匠の日記というものも残っているのですが、そこからはやる気のない子どもに忍耐強く対応をする師匠の姿が浮かび上がってきます。
この子どもと大人のやりとりは、今も昔も変わりませんね。
「寺子屋」は当時「手習所」などと呼ばれていたそうですが、この「手習」というのは文字の読み書きを学ぶことを言います。しかし寺子屋で学んだのは文字の読み書きにとどまらず、お手本や教科書の内容から、子どもたちは生活に必要な知識や家業に必要な知識、そして道徳的な心構えなども学んでいたのです。
江戸時代の日本の識字率(文字を読むことができる人の割合)は、世界でも飛びぬけて高かったことが知られています。例えば日本がまだ江戸時代であった19世紀初頭、産業革命真っ只中のイギリス、ロンドンの識字率は20%ほど。それに対して日本は江戸の識字率は70~80%ほどはあったと言われていますので、いかに日本が優れた教育文化を持っていたかがよくわかります。
今の日本では学校に通うことや文字が読めることは当たり前になっていて、「学ぶ」という意味が見えづらくなっているように思います。そんな時、江戸時代の「学びの文化」というものを見直してみることは、大変有意義なことだと思います。
美しい日本語
電車の中や街で擦れ違う女子高校生や中学生の会話を聞いていると、理解不能な隠語、下品な言葉が飛び交っていて、美しい日本語はどこにいったんだろうかと思うことがあります。
日本語の乱れが指摘されるようになって、随分経ちますが、一向に改めようという動きが起きないのが不思議です。
敬語や謙譲語の使い方を知らない若い人が大部分で、やはり大人の責任に帰すのだろうかと半ば諦めているのが、世の大人でしょうか。
できるだけ美しい日本語を使ってほしいです。
そして、グローバルな意識と地球サイズの感性を持った子どもになって欲しいのです。
風の音に命を感じたり、宇宙の彼方にある星の輝きを想像したり・・・。
今でも 歌い継がれている童謡や、なにかメッセージを伝えたいという思いで書かれた歌はみんなすばらしいものです。
幼い時からそんな歌を聴いたり歌ったりすることをくりかえす事で知らず知らずのうちに、子どもたちは美しく正しい日本語を身につけていくと思います。
ある絵本作家の方がおっしゃるには、絵本に添える言葉は飾りがなく、シンプルでしかも美しくということでした。
子どもたちのイマジネーション、想像力の翼を折らないために、それは欠かせないということです。
子どもたちの純粋で繊細な心がそのまま育ちますように、という願いからでしょう。
道徳心
子どもの心を育むためには、愛情だけではなく、道徳心も必要なのではないでしょうか。道徳心とは、みんなのために・後から来る人のために、良いことか悪いことかを分別する心です。その心は、先人の思いと一緒に示すと、子どもの心に届くように感じます。
子どもの頃、祖母がお墓参りのとき話してくれました。「このお墓の中に、おばあちゃんの子どもが3人いるんだよ。みんなのことを守ってくれているから、お墓を大切にしてね」。祖母は子どものことを話すとき、いつも涙を流しました。私は、子ども心にも、お墓を大切にしなければと、家族としての役割を思いました。この役割感こそが、自分のアイデンティティーを育みます。
道徳心・アイデンティティー・手を合わす心根が、いのちを大切に する心の土台には必要です。その上に、いのちに限りがあるから一生懸命生きる、一人で生きられないから支え合うことなどを示し、普通の生活の中でその小さな実践をするとき、いのちの根っこが芽吹くのではないでしょうか。
親や大人が自分の生きる姿を通じて、大切 に願うことを、普通の生活の中で子どもに示すことが大切です。子どもは親の鏡です。まず、私たち親、大人が変わりましょう。子どもたちのために・・・。
生かされている
私たち大人は、死んだら生き返らないということを、無感情な一般常識として身につけてしまっているように感じます。子供のとき、死んだら自分はどうなるのだろうかと思い、怖くて、怖くて、最後は忘れよう忘れようとしたことはないですか。子どもが、「死ぬのが怖い」とあなたをみつめるとき、何を示しますか。
死は必ずあることと共に、生かされているとの心を大切にしてほしいと思います。いのちをみつめるとき、生かされていると感じることがたくさんあります。
人間の寿命は、誰が決めるのでしょうか・・・。罪のない子どもが小児がんを発病し、天国にいきます。がんが治らなければ人は死にます。がんが治っても人は死にます。がんにならなくても人は死にます。人は必ず死ぬ、でも今、生きている。生かされているとしか思えません。
生かされているとの実感が、普通に暮らすことへの感謝の心、自分は何のために生きているのかとの自律の心を育んでくれるのではないでしょうか。
生かされていると感じる種を、子どもの心に蒔いてください。それは手を合わすことの意味を示し、普通の生活の中で実践することです。食事のときに「いただきます・ごちそうさま」をします。その意味は、肉・魚・野菜のいのちをいただき自分のいのちをつなぎます。その食事と作ってくれた人がいます。いただくいのちと人に感謝し、手を合わせるのです。
人間がして動物がしない行為が二つあるそうです。祈ることと自殺することです。手を合わすことは、人間の自然な営みです。初詣、お墓参り、食事・・・。普通の生活の中で、手を合わす意味を子どもに示し教えてください。
死んだらどうなる?
「人は死んだらどうなるでしょうか?
(1)生き返る(2)生き返らない(3)わからない、一つ選んでください」
小学1年生に質問すると、答えはそれぞれ三分の一ずつぐらいになるそうです。死んだら、生き返る・わからないと答える子どもがたくさんいることを、あなたはどのように感じますか?
「とんでもないことだ!しっかり子どもに教えなければ」と思っていた先生は、ある小学生のメッセージに触れたとき、ハッとしました。「わたしは、わからないと答えました。なぜなら、わたしは死んだことがありません。死んだ人に聞いたこともありません。どうして、みんなは生き返らないとわかるのでしょうか」。
大人は、死という場を体験しているから「生き返らない」と知っています。死という場を体験していない子どもが、「わからない」と答えることは自然なことではないでしょうか。死体に触れたことがあるかを尋ねると、「ある」と答える小学生は5%、中学生でも20%未満という数字があります。「怖いから見なくていい」と答える都会に住む若いお母さんもいます。
死ぬことと生きることは、別々なことではありません。死を見つめることが、生きること、いのちを感じることになります。リアルな死を通じて、いのちには限りがある・いのちはかけがえがない・遺された人がたくさんの涙を流すことを見せてあげてほしいものです。子どもたちは、自分の中で、その死を意味づけてくれるのではないでしょうか。
お父さんを亡くした中学生のメッセージです。「お父さんが死んでから、命とか生きることを考えるようになりました。お父さんが生きていたときは、両親のことをよく考えていなかったと思います。でも今では、お母さんに優しくなれたと思います。それが、お父さんが死をかけて私に教えてくれたんだと思います。どんな命だって、一人のものじゃないですね」
人の死は、悲しく・つらく・涙します。しかし、その場こそが、いのちをみつめる深く尊い場ではないでしょうか。
乳がん検診の違い
日本で増加している乳がん死亡率は、欧米諸国ではかなり前から減少傾向にあります。米国や英国では、昭和60年ごろをピークに死亡率は減少に転向しています。マンモグラフィ検診が開始された少し後で、検診の効果が出始めた時期と一致します。米、英両国の受診率が7割以上に達しているのに対し、日本は約2割に留まっています。
受診率の低さばかりが注目されていますが、日本のがん検診には組織的な管理も必要だという意見もあります。大幅な死亡率の減少に成功した欧米諸国には、日本とはまったく違う「組織型検診」と呼ばれるシステムがあるといいます。
システムの柱は
(1)有効性の確立したがん検診のみ行う
(2)徹底的に精度管理されている
(3)対象者全員に通知が送られ、受けない場合には勧奨が繰り返される
の3つですが、日本は(1)も不十分なのが実情だそうです。
世界的に検診の有効性が証明されているのは乳がんと子宮がん、大腸がんの3つだけとされ、ほとんどの欧米諸国では、これらの検診に国を挙げて取り組んでいます。
有効性が実証されていない検診も含め、散漫に行って結果が出せないでいる日本に比べ、欧米諸国は死亡率を下げるという目標達成のため、合理的かつ集中的に検診を行っているのです。マンモグラフィ検診を徹底していない機関には罰則など法的な処置が取られる国があるほどだそうです。
体系的な受診勧告のシステムについては、約7割の乳がん検診受診率を誇る英国の例が分かりやすいでしょう。英国では3年に1回、各地域の「受診勧奨センター」を通じ、検診施設から対象者に乳がん検診の通知を出します。さらに「精度管理センター」が受診勧奨センターに定期的に立ち入り、精密検査が必要な対象者への再検査の要請などを調査します。満たしていない場合は指導するということです。
日本ではまだこのようなシステムはありません。意識の転換が必要ですね。
「魚」の安全性
魚は、「回遊魚」「近海魚」「養殖」の3つに分けて、安全性を判断するといいでしょう。
回遊魚は、汚れが少ない外洋の海を一箇所にとどまらずに 泳いでいます。
イワシ、サンマ、アジのように 寿命が短くてプランクトンを餌にしている 小型の回遊魚は、安全性が高いといわれています。
おなじ回遊魚でもマグロのような長生きで大型の魚は、大きい魚が小さい魚を食べているという'食物連鎖'の関係もあって汚染物質がたまりやすいといわれています。
「近海魚」というのは、湾になっている海や沿岸を回遊している魚で、スズキ、タイ、イカ、タコ、アナゴ、キンメダイなど。
メチル水銀の濃度が高くなっているものもあります。
「養殖」は、いけすで大量に飼育され、病気予防などの目的で抗生物質が使われています。
見分け方として、'養殖は 胴の部分が丸く太っている''天然ものは すっきりした流線型'
というのがあります。
安全性という点では、「MSCマーク」がついた水産物を見かけるようになりました。
これは'水産資源や海の環境を守って獲られた魚'に付けられるものでWWF(世界自然保護基金)が認証しています。
また、安全な養殖を認める「適正養殖業者 認定制度」というのも長崎で始まっています。
こういう形で、安全性がわかるものが増えるといいですね。
「肉」の安全性
食肉は、生産効率が優先されるため、抗生物質や合成抗菌剤が使われています。
その量は、人の医療用に使われる 2倍ほど。
豚は、1坪(3.3㎡)あたり2.5頭を コンクリートの上で飼っているのが一般的です。
抗生物質は、エサに添加物として加えられています。
一方、放牧で育ったものなどは、薬の使用がほとんどなく、肉質も良く安心です。
牛肉は、霜降りよりも赤身を選びましょう。
霜降り肉は、脂肪がまざりやすい'黒毛和牛'を使って、 高カロリーの餌で、運動させないで作ります。
脂肪の取り過ぎを防ぐという意味でも、赤身がおすすめです。
鶏肉のブロイラーは、
身動きの取れない鶏舎で、運動しないよう暗くして 育てられます。
できるだけ「平飼い」という外や鶏舎を自由に動き回れるような飼い方をしたものを 選ぶようにしましょう。抗生物質などの投与も確認して下さい。
実は、食肉用の牛や豚は、年間、牛が122万頭、豚が1622万頭。
そのうち、牛の70%、豚の60%以上に なんらかの病変が見つかっているというデータがあります。
また、牛・豚・鶏には、それぞれ「和牛」「黒豚」「地鶏」という分類がありますが、 これらは、食肉生産量の全体のうちほんのわずかしかなく、 偽装も多いといわれています。
信頼のおけるお店で表示をしっかり見て買うことが、肉の選び方のポイントです。
肺がん治療
肺がんは、1年間に約6万6000人の患者が亡くなり、日本人のがんで最も死亡者数が多く、治療の難しいがんの代表です。
がんが肺にとどまり、リンパ節などへの転移がない早期なら、手術で根治が期待できます。リンパ節への転移があるやや進んだがんでも手術を行う場合がありますが、再発を招きやすいです。
患者全体の4割に手術が行われ、そのうち半数では手術後にがんが再発していると見られます。こうした再発や、がんが広がった状態で見つかり手術できない場合には、抗がん剤などによる延命や症状緩和を目的とした治療が行われます。
肺がん手術では、実施件数が多い施設ほど治療成績が良いと聞きます。手術実績は、病院選びの良い指標となるでしょう。
胸を開く通常の手術法以外に、体に小さな穴を数か所開け、挿入した小型カメラの画像を見ながら手術器具を差し入れて行う胸腔鏡(きょうくうきょう)手術が普及しています。
胸腔鏡手術は、傷が小さいため手術後の痛みが少ないのが特長です。ただし開胸手術も従来に比べれば小さな傷口で行っており、入院期間や半年後の痛みに大差はないということです。
手術に代わり、がんに放射線をピンポイントで集中照射して治療効果を高める「定位放射線治療」も、一部の施設で行われています。直径5センチ以下で転移のないがんが対象で、保険で治療できます。
転移が防げる可能性も?
がん細胞が他の臓器に転移する際、全身の免疫を担う細胞の働きを自在にコントロールし、体内を移動しやすくしていることが、慶応大の研究で明らかになりました。
その際に作られるたんぱく質の働きを抑える薬剤ができれば、がん転移とがん細胞による免疫抑制の両方を防げる可能性があるということです。
研究チームは、転移能力を持つがん細胞の多くが「スネイル」というたんぱく質を作っていることに注目。詳しく調べたところ、スネイルが、転移に重要なだけでなく、全身の免疫反応を抑える細胞を増やすことが分かったそうです。
一方、スネイルの働きを抑えると、転移能力が抑えられ、がん細胞への攻撃をやめていた免疫反応もほぼ正常に戻ったということです。
すばらしい発見ですね。この「スネイル」というたんぱく質の働きを抑えるものが早く出来ることを期待したいと思います。
がん検診受診者数が減少
自治体のがん検診を受ける人が減っているそうです。昨年4月に始まった特定健診・保健指導(メタボ健診)が足を引っ張っているという声も聞かれます。
がん検診を受けた人が前年比6割減となる市町村がでるなど、がん検診の受診者が激減したところがあります。メタボ健診に力を入れた分、がん検診の啓発がおろそかになった、という見方もあります。
メタボ健診は昨年4月、高齢者医療法で自治体などに実施が義務付けられ、受診率が低いとペナルティーもあります。
厚生労働省によると、がんで亡くなる人は年30万人超で、死因のトップです。しかし、1982年度に始まった市町村のがん検診は、健康増進法での努力義務にとどまるため、自治体の関心がメタボ健診に傾いたらしいということになります。
昨年4~12月、全国約900市町村の肺がん検診の受診者の減少は、前年同期の11%にあたる約27万人に上ったそうです。
ここまで減ったのは、メタボ健診によるもう一つの影響とする見方もあります。
メタボ健診の前身は、市町村の基本健診です。職場で定期健診を受ける機会のない主婦や高齢者らも対象で、がん検診と同時に行っていた市町村も多いのです。
ところが、メタボ健診は保険事業の運営者が実施します。自営業者など国民健康保険加入者は市町村のメタボ健診を受けられますが、サラリーマンの妻は夫が勤める会社の健康保険組合で受けることになりました。
基本健診だった時と同様に、メタボ健診をがん検診と同じ会場で行った町では、次のような光景も見られました。メタボ健診が受けられないサラリーマンの妻の中には「がん検診だけなら受けない」と怒って帰った人もいたそうです。がん検診も受けられなくなったと誤解して来なかった人もいたといいます。
メタボ対策ばかりでなく、がん検診も大切で、おろそかにしないためにも両立の工夫が大事なのではないでしょうか。
メタボ健診・・・メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の予防と医療費抑制が目的で、40~74歳が対象。異常が見つかると、保健師らが食事や運動の指導をします。
花粉症対策は・・・?
関東人はマスク好き? 花粉症対策の調査で、マスクで対処する人が関東地方に集中していることが分かりました。他の地方では薬や食べ物で対応する人が多かったようです。
花粉症対策とそれにかける費用を尋ね、回答者の居住地ごとに集計しました。
「マスク」を挙げた人が最も高かったのは茨城で61.4%。続いて神奈川61.1%、千葉60.8%、東京58.6%、静岡57.7%と、上位に関東の各都県が入りました。「薬」は鳥取、「目薬」「食べ物」「飲み物」はいずれも秋田が1位でした。
対策費用が最も高かったのは青森で、1カ月あたり2380円。一方、隣の秋田は1091円で最下位でした。両県の花粉の飛散量は22位と23位でほぼ同じですが、かける金額が違うのは県民性の違いではないでしょうか。
スギ花粉"襲撃"の季節、マスクやゴーグルなどで防御しても、落とし穴は「洗濯物」--。花粉対策として一般に知られている「洗濯物をはたいて取り込む」ことに、実効性が薄いことがわかりました。花粉症の人の洗濯物は部屋干しにするのがお勧めです。
綿100%の試験布を使い、洗濯処理し濡れた状態の布に花粉(スギ)を付着させ、乾燥させた後に手で軽く払う程度の振動を加える実験をしました。そこで花粉の残留率を調べたところ、試験布の花粉残留率は、81.8%で、ほとんどの花粉は落ちていないことがわかりました。一方、乾いた布に花粉を付けて同様の実験を行ったところ、残留率は14.7%となり、濡れている状態でついた花粉は、乾燥した後に払っても、ほとんどが落ちないことが明らかになりました。
さらに実験では、洗濯処理後の濡れた綿布に疑似花粉を付着させ、乾燥中の繊維の動きを観察しました。すると、乾燥するにつれ、布の表面に張りついていた繊維が立ち上がるように動き、疑似花粉を巻き込む様子が確認されました。濡れた状態で花粉がついたまま乾燥させると、花粉が繊維に巻き込まれてしまい、花粉が落ちにくくなる可能性が考えられます。こうした結果から、花粉の時期は洗濯物に花粉がつかないよう、部屋干しなどの工夫が大切ということです。
花粉の飛散は午後8時から午前10時ごろまでは比較的少なく、昼前後と日没から数時間がぐっと増えるそうです。時間を選んで干したり、部屋干しが望ましいですね。
現在では国民の15~30%が花粉症患者と推定されています。
花粉飛散時に、3LDKのマンションで窓を1時間全開にして換気すると約1000万個の花粉が入ってくるそうです。窓の開きを10センチ幅に抑えてレースのカーテンをすれば、花粉の侵入は4分の1に減らせるといいます。網戸の上から張る花粉フィルターも発売されています。
あなたなりの対策を考えてみてくださいね。
がん患者のための研究所を新設
医療機器のオリンパスと島津製作所は慶応大と共同で、2010年にがんの治療技術に関する研究開発センターを新設するそうです。
患者の体への負担が少ない治療法を専門に研究する拠点で、日本では初めてとなります。超小型ロボットの開発など、産学連携で次世代の医療機器や医薬品などの開発に取り組むということです。
研究開発センターは慶応大医学部キャンパス内に設けます。投資額は実験機器などを含めて約20億円に上り、このうち8億円を国が補助するそうです。
研究対象は、治療に伴う出血や体組織の切除などを抑える「低侵襲療法」と呼ばれる治療法です。具体的には、口から体内に入って遠隔操作で治療できる超小型ロボットや、がんの部位を正確に特定することで切除部分を最小限にする診断装置などの開発を目指します。
オリンパスは、口からのみこむカプセル型内視鏡を開発するなど内視鏡に強みを持っています。島津製作所は、陽電子放射断層撮影(PET)など画像診断装置を得意としています。センターの新設には、横河電機や浜松ホトニクスなども参加する予定です。
センターの開設を待たず、既存施設を利用して09年中に共同研究を始め、医学部に併設の慶応大病院とも連携するということです。基礎研究から臨床実験まで一貫した態勢を1か所に築くのも異例なことです。
手術や検査などの際に患者に与える外傷や出血、放射線の被曝(ひばく)、痛みなどを医療用語で「侵襲」といいます。侵襲が少なければ、早期の回復が見込める事例も多いとして研究が進んでいます。医療機器をより小型・高性能にする必要があり、政府が研究開発への支援を強めているところです。
まず禁煙・節酒
がんや心筋梗塞(しんきんこうそく)などの予防には、肥満の改善も大切ですが、それよりもまず禁煙やお酒を飲み過ぎないことが重要であることが、厚生労働省研究班の調査で分かりました。
40~69歳の男女約9万6000人を10~13年間追跡調査。生活習慣の中の喫煙、飲酒、肥満の三つの要因と、がんや心筋梗塞など循環器系の病気との関連を調べました。
全体として、禁煙した場合と飲酒量を減らした場合は10年後の生存率はすべての年齢で上がりますが、BMI【体重(キロ・グラム)を身長(メートル)の2乗で割った値。標準は22】を改善しても生存率に変化はなかったそうです。
また男性では「たばこは吸わず、飲酒は時々、BMIは25~27」のグループが、10年後も、がんや循環器系の病気にならずに生存する割合が最も高く、健康的でした。
逆に「喫煙1日40本以上、毎日2合(日本酒の場合)以上の飲酒、BMI30以上」のグループが、最も不健康でした。
50~54歳の男性で、最も不健康なグループを、最も健康的なグループに比べると、10年間で、がんになる人は2・8倍、循環器系の病気は4・8倍多かったということです。
肺がん
日本人は75歳までに男性の約2人に1人、女性の約3人に1人が何らかのがんに罹ると言われています。その中でも肺がんは治療が難しく死亡率が高いがんの1つで、治療効果と安全性の高い治療法が望まれています。
喫煙者の検診は胸部X線写真だけでは不十分。喀痰細胞診の検査をプラスして
がんによる日本人の死亡率をみると、臓器別では肺がんが男性で第1位、女性で第2位となっています。1年間に約5万人が肺がんで死亡しています。5年後には肺がんで亡くなる人の数は倍増し、10万人を超えると予測されています。その理由として、若い女性の喫煙率が上昇していることやアスベストの影響などが挙げられます。
喫煙量が多いほど、そして喫煙開始年齢が低いほど、肺がんの発生率は高くなります。また胸膜中皮腫の原因物質として問題になっているアスベストは、発がん物質で、これが原因で発がんするのは、数十年後など、かなりの時間が経過してからです。
肺がんには小細胞がんと非小細胞がんがあり、非小細胞がんはさらに腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんの3つの細胞型に分かれます。喫煙と関係する扁平上皮がんや小細胞がんは肺の入り口に近い気管支に、喫煙と関係しない腺がんは肺の末梢に多く発生します。
肺がんが発見されるきっかけは検診発見、他疾患観察中発見、有症状発見の3つがあります。
最も早い時期に発見される可能性があるのは検診です。
腺がんは胸部X線写真で発見される確率が高いのです。一方、扁平上皮がんは胸部X線写真では発見されにくく、喀痰の細胞を調べる検査(細胞診)で発見される確率が高くなります。
検診で肺がんの発見率を高めるには、胸部X線写真だけでは十分とは言えません。喫煙者には喀痰細胞診を追加する必要があります。また最近ではCTの発達により、以前は困難だった前がん状態やごく早期の肺がんが発見される機会も増えてきました。日本ではCT検診で約1%という高い肺がん発見率の報告もあり、有用性の検証がおこなわれています。
2つめは、他の疾患の治療中に偶然発見される場合で、これも初期発見の可能性があります。
3つめは、症状が出て受診して初めて発見される場合です。症状が出てから発見される場合が最も治療成績が悪くなります。
肺がんの一般的な症状は、咳、血痰、呼吸困難などですが、肺がんに限った症状ではありません。がんの発生部位によりほかにもさまざまな症状が現れます。がんが胸壁に浸潤すると背中や胸、肩の痛み、血管に浸潤すると上大静脈症候群、神経に浸潤するとホルネル症候群などが出現します。上大静脈症候群では上大静脈が圧迫され、顔や腕の浮腫、脳浮腫による頭痛や痙攣、呼吸困難などがみられます。ホルネル症候群では交感神経が障害され、瞳孔が縮小したり瞼が下がったりします。
治療法はがんの病期と患者の体力で決まる。手術の決め手は「1秒量」
肺がんの主な治療法には、手術、化学療法、放射線療法があります。治療の決定に重要な要素は、がんの進行度と治療を受ける方の体力です。
一般的には手術でがんを取りきれる可能性が高ければ手術が選択されます。リンパ節転移がない非小細胞肺がんの場合、手術が最も確実に治療効果が得られる方法です。手術をしても小さな腫瘍細胞が体内に残ってしまう可能性があれば化学療法や放射線療法が併用されます。手術をしてもあきらかに腫瘍が残る場合は、手術はせずに化学療法または放射線療法が選択されます。最近では、放射線療法の技術が進んでおり、呼吸のタイミングに合わせて、多くの方向からがんにピンポイントに放射線を照射できる「定位放射線治療」も肺がんに対して行われるようになりました。早期の肺がんであれば治癒にいたる可能性があり、体力的に手術を受けられない方に朗報です。
もう1つの重要な要素は「患者に治療に耐えられるだけの能力があるかどうか」です。肺がんの手術でもっともダメージを受けるのは呼吸機能ですので、手術前の呼吸機能の評価は重要です。特に「1秒量」と呼ばれる、最大に息を吸った状態から最大努力で息を吐き出した1秒間の肺気量の値で評価されます。1秒量は年齢、性別、体格などで異なりますが、この値が1,000ccから800cc以下に低下すると酸素吸入が必要となる可能性があります。そのため、手術は1,000cc以上が見込まれる患者が対象となります。この1秒量は、喫煙によって低下します。
「高齢だから」と暦年齢のみで手術の可否が決まることはありません。また糖尿病や喘息などの合併症や、過去に心筋梗塞を起こした経験があっても、現在不安定な状態でなければ手術は可能です。
肺がんに対して、カメラを使用して小さな傷で手術をする胸腔鏡手術もあります。この方法は高度の技術が必要となるため専門医のいる施設に限られます。手術後の傷の痛みや呼吸機能の損失を小さくすることによって、高齢の患者さんや合併症を有する患者さんにも手術適応が広がる可能性があります。
肺がんの早期発見は検診から。確実で負担が少ない治療法の開発も進められている
画像診断が発達して早い時期の肺がんが発見されれば、負担の少ない低侵襲手術や縮小手術の適応が拡大します。また、進行がんであっても、複数の診療科が協力しておこなう治療(集学的治療)によって、治療成績が向上しています。
免疫システムは夜間によく働く
身体に侵入した細菌に対する免疫システムによる攻撃は、夜間に最も強く、昼間は最も少なくなることがショウジョウバエを用いた研究で判明したそうです。
発表によると、「今回の結果は、免疫が夜間に強くなることを示している。これは、代謝的な消費の多い活動をしていない睡眠中に、概日(サーカディアン)時計蛋白(たんぱく)が特定の免疫反応などの機能を上方調節するという仮説に一致する。」 ということです。
ヒトの体はショウジョウバエと同じように概日リズムによって調整されていて、毎日の食事や休息の時間という体内時計を動かしています。研究グループによると、ハエを用いた過去の研究から、細菌に感染すると概日リズムが乱れ、体内時計が正しく働かないと感染症に対する感受性が高くなることがわかっているそうです。
今回の研究では、ショウジョウバエを昼間と夜間の異なる時間に、2種類の異なる細菌に感染させました。夜間に感染した場合、昼間に感染したものよりも生存率が高かったといいます。研究グループはこのほか、概日時計が乱れたショウジョウバエでは "食細胞的"活性(身体の生来の免疫反応)が低いことも突き止めています。
米粉を利用しましょう
小麦粉に代わる食材として、米粉が注目されています。
注目の理由は、小麦価格の高騰、食料自給率Upへの期待、
安定供給ができる、米の消費減少を防ぐなどです。
お米中心だった日本人の食事が、小麦粉中心の食事に変わってきています。
米粉の利用状況は、2006年度は6千トン。現在1万トン。
政府は、2010年度までに50万トンの目標を掲げています。
米粉パンの学校給食への導入は、2006年度で全国7863校。
「お米をたべましょう」という運動の一環にもなっています。
普及への課題は、価格です。
現在、小麦粉の約1.5倍です。
農水省は、来年度から米粉の生産者に10アール当たり5万円の助成金を出す予定です。
最近、米粉でパンができるようになったのは、
米をより細かく製粉できるようになった技術のおかげです。
米粉を使ったパンは、米粉と小麦粉が50対50の割合がいいそうです。
パン以外の米粉の使い方は、片栗粉の代わりに。
お菓子やケーキに。溶かして型に入れゼラチンの代わりになど。
米粉は栄養価が高く、何にでも染まりやすいというのが特徴です。
食料自給率Upのためにも、米粉を役立てていきたいものです。
あなたは?
「平成19年国民健康・栄養調査」の結果からみてみましょう。
今回の結果で問題だったのが、糖尿病です。
糖尿病の疑いのある人は、全国で2210万人。
大人の5人に1人、前年と比べて300万人以上も増えています。
「正しい食生活と運動習慣が糖尿病の予防につながる」と答えた人が、
およそ90%。わかっちゃいるけど・・・という人が多いわけです。
1日の歩行数は、男性が7321歩、女性が6267歩。
「健康日本21」による目標値は、男性9200歩、女性8300歩です。
メタボリックシンドロームの人も増えています。
「メタボが強く疑われる人」と「予備軍」を合わせて2010万人。
「朝食の欠食率」は、若い人ほど朝食を食べないというのが増加傾向です。
30代男性では、30.2%です。30%を超えています。
続いて、20代の男性28.4%、20代の女性24.9%という割合。
1歳~6歳でも、男児5.3%、女児7.3%が朝食をとっていません。
悪い食習慣は、そのまま生活習慣病につながります。
食育で、正しい食習慣を実践できる人が増えてほしいと思います。
子供と食事
6つのコショクと子供の人格形成の問題は?
「個食」
家族が揃っているにもかかわらず、各自がバラバラのものを食べること。
⇒ わがままになる、協調性が身につかない、味覚形成にも問題が生じます。
「孤食」
1人で食事をすること。
⇒ 食事作法が身につかない、コミュニケーションの苦手な子になる、
社会性が身につかない、偏食がすすむなどにつながります。
「粉食」
パンなど、粉のものを主食に食べること。
⇒ 肥満の原因に。ご飯100gは140kcal、パン100gは225kcal。
おかずも洋風になり、全体で30%カロリー増。
よく噛まないので、記憶力・思考力が心配。添加物など健康も心配です。
「固食」
自分の好きなものしか食べないこと。
⇒ 偏った食事で肥満や生活習慣病に。
ビタミン・ミネラルの不足でイライラ・集中力がない・キレやすいなどに。
「小食」
ちょっとしか食べないこと。特に女の子にみられます。
⇒ 栄養不足で発育が心配です。
「濃食」
味が濃いものばかりを食べること。最近増えたコショクです。
⇒ 味覚障害に。いろんな味を口の中で味わいながら食べることが大切です。
塩分、調味料、添加物などのとりすぎも心配。
食を通じたしつけは、一般常識を確立するのに一番大事なものです。
テレビを消して、団らんのある食卓を作りましょう。
あなたも食育について考えてみてください。
