言葉を探す医学生


ある大学で、医学生が医師、患者、家族役を演じ「がん告知」を体験する特別授業がありました。

60歳男性の肝がんで、手術が成功しても、再発し、1年以内に死亡する確率が90%以上という設定です。

「患者との信頼関係を築くために、早い段階から準備をする必要がある」ということでこの授業が取り入れられたそうです。「コミュニケーションが取れない若い医師が多い」という声をよく聞きます。それだけに、死亡率などの数字を並べて機械的に説明する学生もいるだろうと思われていました。でも実際は違っていました。

「治るんですか」と尋ねる患者や家族役に、「難しい」「ただ手術が成功すれば、1年、それ以上生きられる方もおられます」と医師役が答える。これからの治療や生活に希望が持てるような言葉を懸命に探しているのがわかったそうです。

「死ぬしかないんですか」との迫真の演技に、医師役が「全力を尽くして、生を全うできるようにサポートしていきたい」と詰まりながら話していました。『生を全うできる』という言葉にはっとしました。


授業の最後に、家族役をした学生が「『生を全うできるように』の表現は『死の宣告』と受け取った」「がん告知の日にそこまで言わなくても」と感想を述べました。


同じことでも伝え方で受け止め方が異なります。参加した約90人の学生は「医者は知識や技術も大事だが、相手の気持ちを思いやるためにも経験と教養が必要な仕事だと思った」と感想を漏らしました。その初々しい気持ちを忘れないでほしいと願います。

 

 

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日時:2009年2月26日 06:21

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