父親の役割、母親の役割
いろんな人とのかかわりが子どもの豊かな人格をつくるのです
男性にも女性にも備わっている「父性」と「母性」
働くお母さんが増えたこともあり、近年、お父さんの子育てに対する役割が注目されるようになってきました。親も子も週休二日制が浸透し、父親が子どもと接する時間が増えたことも関係しているでしょう。とはいえ、中には仕事が忙しく、子どもと話をする時間すらないお父さんもいます。またシングルマザーやシングルファーザーなど、家庭の形も多様化しています。だからこそ改めて、子どもたちにとって父親とは何か、母親とは何か、理解しておくべきではないかと思います。
一般に、父性原理は「切断する」機能、母性原理は「包含する」機能を主とすると言われています。つまり父性は、子どもの能力や個性を見抜いて、強いものをつくり上げて行く役割。母性は、何でも受け入れる役割。どちらも人間の成長にとって大切なものです。父親は父性、母親は母性と思われがちですが、女性にも父性、男性にも母性があり、一人の人間がどちらもあわせ持っています。子どもには父親と母親が必要と言うより、父性と母性が必要と言った方が適切かも知れません。父親でも母親でも、父性・母性の良い面を、場面に応じて引き出すことが大切です。
いろんな人とのかかわりや豊かな経験が子どもを育てる
誰もが母性と父性を備えているのですから、母子家庭でも父子家庭でも子育てに問題はありません。ただ一人では、どうしてもパワー不足になりがち。子育てに限らず、何事においても、一人より二人の方が負担は軽くなりますよね。「二人分の役割をこなさなくちゃ」と気を張るよりも、「一人でできるわけがない」と思って肩の力を抜いてみましょう。肉体面でも、一人ではどうしようもないことがあります。例えば、子どもが感じる感触です。子どもは女性に抱かれている時やわらかくフワフワしていると感じ、男性に抱かれている時かたくゴツゴツしていると感じます。フワフワもゴツゴツも、子どもの「豊かな経験」の一つ。もうひとつ言うなら、女性と男性とは遊び方も違います。お風呂に潜ってみたりするような、一見乱暴に見える男性の遊び方に、子どもが大喜びしている様子を見たことはありませんか。優しく接するのも、大胆に遊ぶのも、いろんな人とのかかわりで経験できるのです。
もちろん子どもにいろんな人とかかわらせてあげるには、親自身の人間関係が豊かでなければなりません。おじいちゃん、おばあちゃんと一緒に住んでいる、親のお友達がしょっちゅう出入りしている・・・など、どんな形でも構いません。親がいろんな人とかかわりを持つよう心がけてみましょう。それが、子どもの豊かな人間関係、豊かな人格形成につながるのです。
子どもが小学生で、仲の良いお友達がいるなら、そのお友達の家へ泊まりに行かせてあげてもいいかも知れません。よその家は、子どもにとってまさに異文化。食事の習慣やお風呂の入り方など、家によってみんな違うので、そんなことを体験することも大切です。お父さんがいない子も、お父さんのいる家を経験することができます。また幼児の場合は、地域の子育て支援サークルに通うのも方法です。自分だけでがんばらず、いろんな人の力を借りることを考えてください。
母親は父親の良い面を伝える、
父親は子どものために時間をとる
子どもに、いろんな人とのかかわりを持たせてあげる。これは、一人で子育てしている親だけのテーマではありません。お父さんが子どもと接する時間が少ない家庭も真剣に考えてみてください。というのは、お父さんが多忙で、専業主婦のお母さんが一人で子育てを担当している家庭では、子育てのストレスがたまりやすいといわれています。そのような家庭で母親が子どもに愚痴ばかりこぼしていると、子どもにとって「お父さんは悪い人」になってしまいます。まずは、お母さんが子どもにお父さんのことをポジティブに伝えてください。「お父さんは、こんな仕事をしているんだよ」とか、「お父さんが、こんなこと言ってたよ」とか、良い面を伝えることで、父親とのふれあいの少なさをカバーしましょう。そして家に閉じこもらず、いろんな人とおつきあいするよう心掛けてみましょう。趣味を広げるのもいいかも知れません。もちろんお父さんも、子どもと接する時間をとれるように努力してください。
子どもがつきあう相手を親の価値観で選ばない
家庭の形態や事情はともあれ、子育て中の親にとって大切なのは、子育てを自分だけの問題として抱え込まないことです。「自分は母性が強いか、父性が強いか」と、自分の個性を客観的に分析してみるのもおもしろいことでしょう。自分がどういうタイプなのか認識していれば、足りない部分を他の人にお願いしやすいですよね。両親、友達、近所の子ども、よく行く店のおばさん、子育て支援サークルの担当者など、いろんな年齢のいろんな人に助けてもらいましょう。
この時、注意したいのは親の好き嫌いを押しつけないこと。「あの親とは話が合わない」「あの先生は教え方がよくない」「あの子どもは行儀が悪い」など、親の価値観で子どもがつきあう相手やつきあい方を安易に判断しないでください。特に小学生になると、子どもは親の知らないところでも交友関係を結びます。いろいろな人とのつきあいにはプラスになるものがあると信じて、子どもとかかわっていきましょう。
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