評価ばかりを気にしない
親の思い 子どもの思い
評価の観点が違う
親はどうしてもやる気や意欲よりもどれだけできたかの到達度の方を重視し、何ができたか、何ができなかったか、といったことについつい目を向けてしまいがちです。子どもとどう向き合うか考えてみましょう。"達成"のところだけを注目するのではなく、子どもがどんなことに意欲を持って取り組んだかということに目を向けてあげてください。
子どもは親の思いに敏感
子どもは、親が自分のどこを見ているかに非常に敏感です。親が思っている以上に、親の期待に応えたいと思っているものなのです。親が喜んでくれるのは、何ができた時なのか。何かに一生懸命取り組んだ時?それともテストの点数がよかった時?友達に親切にした時?子どもは親が期待することを、親の言葉や態度から敏感に察知して、知らず知らずのうちに、親の望む方向に合わせるようになっていきます。
親がテストの点数に目を向けると、子どももテストの点数を一番気にします。親が意欲や積極性を大切にすれば、子どもは自分からすすんで取り組もう、と思うようになります。
「ここまで、できた」ことをまず認めよう
テストで子どもが90点をとったとします。親はどうしても相対的な見方をして、「クラスで100点は何人いたの?」「A君やB子ちゃんはどうだったの?」と聞いたりしがちです。他の多くの子が100点をとっていて、自分の子が90点では親は満足できないのかもしれませんね。
でも、そのテストで90点をとったということは、9割が正解なのですから、よくできています。子どもは「家に帰ったらきっとほめてもらえる」と、自信をもってテストを見せることでしょう。その時、「よくできたね」ときちんとほめてもらえると、子どもは「次も頑張ろう」と思います。反対に、ほめられるより先に「他の子はどうだったの?」と言われると、子どもは「まだ、だめなんだな」と思ってしまいます。この時の親の態度の違いが、子どもの自信の芽を育てるか否かにつながっていくのです。
子どもの自信の確立や自己意識は、まわりが自分をどうとらえているかが多分に影響します。その中でも「親」の存在は子どもには最も影響力が大きいものといえます。
ですから、テストや通知表などを持って帰った時には、できていないことを問題にして叱ったり、クラス全体や他の子どもたちと比較したりするのは、あまりいいとはいえません。たとえ、思ったほどよくない結果であっても、子どもが「できたこと」に注目して、しっかり認めてあげましょう。
親は、子どもの味方に
先生と親と子どもの三者の関係を考えてみましょう。先生は学校生活において、子どもを見ている人ですね。学校生活においてどこまで子どもに力をつけさせるか、基準が国によって定められています。この基準によって子どもを指導、評価するのが先生の立場です。
親の立場は、当然、先生とは違っているはずです。先生が子どもに対して指導する側にいるのなら、親はどちらかといえば、子どもの側に立ってあげてほしいのです。そこに親としての大きな役割があります。
例えば、先生に、「字が雑だからていねいに書こう」とアドバイスされて、子どもが少し気にしていたとします。親の立場としては、「でも、書くのが速いんだよね」とまず、いいところを見つけてあげる。それから、「お母さんだったらそんなに速く書けないよ。でも、ていねいに書くことも大事だよ」というふうにフォローしてあげることです。たとえ、先生に叱られたとしても、「ここのところがとてもいい」と親が認めてくれているということは、子どもにとって自信につながります。その自信があれば、「もっときれいに字を書こう」という意欲も生まれてきます。そんな三者の関係が大切なのです。
先生に叱られたことと全く同じ観点や理由で、親にも叱られると、子どもには身の置き場がありません。親としては、つねに「絶対にあなたの味方でいる」という姿勢でいるよう心がけてみましょう。
自分の力を発揮できるような環境づくりを
子どもは、まわりの評価によって自分を理解し、自分という人格を形成していきます。自分をつくっていくうえで、自己肯定感はとても大事な要素です。ですから、その過程では、否定的な評価をあちこちで受けすぎない方がいいと思います。
親がほめてばかりだと、子どもが自分を見失うことになるのではないかと、心配する方もいますが、その心配はあまりありません。
例えば、運動はとても得意でほめられるけど、勉強が苦手な子がいるとします。その子は、運動に自信を持っていますが、運動ができるからそれでいいとは考えていないのです。やっぱり、勉強ができないということは自分で感じています。なぜなら子どもたちは、友だちどうしで「何ちゃんは○○が得意だ」とか、「何ちゃんは○○があまり上手じゃない」などと気軽に言い合っています。ふだんから、一番シビアに評価する友だちの目にさらされているのです。ですから、親がほめても自分を見失うわけではありません。ほめることは、親が子どものいいところを理解していると、子どもに感じさせることなのです。
また、「運動はできても勉強ができないからダメ」と叱ることも、逆に、「運動ができるから運動選手になればいい。だから勉強しなくてもいい」と決めつけることも、よくありません。幼児期から成人になるまでは、人格形成の途中です。バランス良くいろいろな側面を伸ばしてあげてください。それが強く生き抜いていく力につながります。
『愛語』と言う言葉があります。不自然にほめることではなく、「よくわかるね」「あなたならきっと上手にできるわ!」など、優しく愛のある言葉は、その言葉をかけられた人の心をプラス方向に向ける力を持っています。大人でも、愛語をかけられるとうれしいものです。子どもなら、なおさらです。
明るく元気で、愛語をかけられやすい子どもがいる一方、愛語をかけられにくい子どももいることに目を向けましょう。まわりの人から、愛語をかけられて育っていく子どもは、持っている力を十分に発揮できるといいます。
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