環境の変化への子供の適応
ゆっくりでも、「子どものペース」が環境になじむ早道です
子どものタイプを見極める
習い事や引っ越しなど、子どもが何か新しいことにとりくみ始めたり、周りの環境が大きく変化したりすることがあります。そんな時は、どの子どもも緊張していると思います。周囲の大人からも「がんばろうね」などと言われたりするので、子ども自身も気を張っているのではないでしょうか。親としては、新しい環境になじめるのか、気になるところです。
子どもと接しながら、子どもが環境になじみやすいタイプか、なじみにくいタイプかを見極めることが大切です。そのためには、まず保育園や幼稚園など、これまでと異なる環境に初めて子どもが飛びこんだ時のことを思い出してみましょう。親となかなか離れなかったり、立ったまま動かなかったりしませんでしたか?幼稚園の先生から「周りの子どもと遊びません」「教室に入ってもじっとしています」などと言われたことはありませんか?幼児の頃から子どものタイプを知る目安になるエピソードはいろいろあると思います。
「環境になじむスピード」は、子どもによって異なります。どんな環境でも平気な子どももいれば、ゆっくり時間をかけてなじんでいく子どももいます。中には、熱を出したり、食欲がなくなったりと、環境になじめないストレスが体に出てくる子どももいます。環境への適応スピードは、個性のひとつ。タイプをわかってあげることから、子どもと向き合っていきましょう。
ゆっくり時間をかけて対応を
子どもが「環境になじむ」というのは、少し大ざっぱに言いますと、その環境の中で、集団行動ができる、友だちができる、そこの大人たちと話ができる、すすんで出かけて行くなどの状態。逆に、みんなと一緒に行動ができない、友だちができない、そこの大人たちと話ができない、行きたがらないなどが「環境になじめない」状態です。
環境になじみにくい子どもは、いわば不安の強い子ども。自分なりに行動を起こして、「大丈夫」と思えるまで、ある程度の時間が必要なのです。たとえ、わが子が環境になじみにくいタイプだとしても、決して子どもを急がせず、親自身もあせらないでください。親が「他の子と一緒じゃないと不安だ」と張りつめていると、その気持ちが子どもに伝わり、よけいに子どもの不安が大きくなります。「この子は、なじむのに他の子どもの何倍も時間がかかるけど、大丈夫」とゆったりかまえて、親自身がリラックスすることが大切です。
新しい環境で迎えてくれる方に「うちの子は、時間はかかりますが、きっとなじみますから」とお話ししておいて、子どもをバックアップしてあげるのも一つの方法です。親や先生といった大人から早くなじむようにせかされると、自信をなくして「自分はダメな子どもだ」と自分を否定的にとらえてしまう可能性があります。もしも子どもがなじめないようでも、「大丈夫だよ」と気持ちを受けとめてあげましょう。気持ちをわかってくれる大人がいることで、安心して新しい環境になじめるようになります。
弱点や欠点がだせるように
親が子どものタイプを理解する際に気をつけたいのは、ほんとうは環境になじみにくいのに、無理をして平気にふるまっているケースです。こういうタイプの子どもは、「親から認めてもらいたい」「まわりからほめてもらいたい」と、自分の力以上にがんばっています。優等生で、何でもきちんとできる子どもほど、期待に応えようと無理をしている場合が多いので、「がんばりすぎていないかどうか」気にかけてあげることが大事です。無理を続けていると、いつか疲れてしまいます。普段から「いい子」の面ばかりを親に見せようとする子どもは要注意ですので、弱点や欠点を少しでも見せた時は「いいよ、いいよ」と受けとめてあげてください。親自身も弱点をかくさず、パーフェクトな人間は存在しないことを教えてあげれば、弱い面を見せるようになるかもしれません。新しい環境では、「平気にふるまおう」とさらに緊張感が強くなりますので、子どもがラクになれるよう、「慣れればちゃんとできるから、無理しなくて大丈夫」と言ってあげましょう。
親として心がけたいこと
親と子どものタイプが異なると、子どもの気持ちや態度を理解するのがむずかしいものです。「自分はスポーツが得意なのに、子どもは運動オンチ。何でもっと速く走れないの!」といったケースです。環境への適応力でも同じこと。お母さんが適応力のあるタイプの場合、「どうしてすぐに慣れないの!」とイライラしがちです。何とかしてあげたい気持ちはわかりますが、子どもが親と同じタイプとは限りません。子どもの個性をきちんと認めてあげましょう。
時折、子どもをコントロールできると思いこんでいる親を見かけます。でも、子どもには、子どもの"スタイル"があります。環境になじむのに3ヶ月かかる子どもに、「3日で慣れなさい」と言っても不可能です。子どもは思い通りにコントロールできないものと心得て、がんばりを見守ってあげたいものです。
子どもの気持ちを知るには、表情や動きをよく見ることです。「言わないとわからないでしょ」と叱るのではなく、子どもの気持ちを表情や動きから察してあげるのです。「子どもにはこうあってほしい」という思いが強すぎると、子どもの表情や動きを見るゆとりがなくなります。親自身が子どもへの敏感性を高めることが大切です。
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