命令するより、お願いしましょう
『軍隊の上官でもない限り、他人に対しては、
命令するよりもお願いした方が良い結果を生むでしょう。』
軍隊では、多くの時間を費やして、上官の命令に従うよう兵士を厳しく訓練します。命令に従うことは兵士にとって必要な要素なのです。
でも、毎日の生活においては、何事もそのようにはいきません。
ビジネス・政治・市民のリーダーたちは、一般の人たちがひときわ優れた仕事をするのは、命令された時ではなく、頼まれた時であることを知っています。
あなたが人を管理する立場にあるとしても、人に命令するのではなく、お願いすることによって、はるかに多くのことを達成できるでしょう。
「...してもらえませんか?」「...手伝ってくれませんか?」という言い方や、常に効果的な「お願いします」という言い方をすることで、人を威圧するよりもはるかに多くの成功が確実なものになります。
あなたの支配力が及ばない人たちの協力が必要な時にはなおさら、命令するよりもお願いする方が、はるかに良い反応を得られることでしょう。
骨粗しょう症
国内に1千万人とも言われる骨粗しょう症(こつそしょうしょう)や、関節リウマチの画期的な新薬の候補を、大阪大と米国立保健研究所のチームが発見したそうです。脂質の一種で、骨を壊す細胞を、骨から引き離す働きをするということです。
骨を作る細胞と壊す細胞(破骨細胞)のバランスが崩れると病気になりますが、破骨細胞が骨の中で働く仕組みはよくわかっていませんでした。
大阪大免疫学フロンティア研究センターでは、生きたマウスの骨の中を見ることができる新しい顕微鏡を開発し、骨を壊す細胞の動きを観察しました。
その結果、血液中に含まれる脂質の一種「スフィンゴシン1リン酸」(S1P)に、破骨細胞を血管へ引き戻す働きがあることを突き止めました。
チームは、免疫抑制剤として海外で臨床試験の最終段階まで進んでいる薬に、S1Pと同じ仕組みで働くものがあることに注目。この薬を骨粗しょう症のマウスに投与したところ、骨の破壊が6割軽減されることがわかりました。この薬は、冬虫夏草の成分をもとに作られたもので、S1Pより強い働きをもつということです。
すでに人の薬として開発中なので安全性は高いということです。骨粗しょう症や関節リウマチ、がんの骨転移など骨が壊れる病気のひとに役に立つといいですね。
言葉を探す医学生
ある大学で、医学生が医師、患者、家族役を演じ「がん告知」を体験する特別授業がありました。
60歳男性の肝がんで、手術が成功しても、再発し、1年以内に死亡する確率が90%以上という設定です。
「患者との信頼関係を築くために、早い段階から準備をする必要がある」ということでこの授業が取り入れられたそうです。「コミュニケーションが取れない若い医師が多い」という声をよく聞きます。それだけに、死亡率などの数字を並べて機械的に説明する学生もいるだろうと思われていました。でも実際は違っていました。
「治るんですか」と尋ねる患者や家族役に、「難しい」「ただ手術が成功すれば、1年、それ以上生きられる方もおられます」と医師役が答える。これからの治療や生活に希望が持てるような言葉を懸命に探しているのがわかったそうです。
「死ぬしかないんですか」との迫真の演技に、医師役が「全力を尽くして、生を全うできるようにサポートしていきたい」と詰まりながら話していました。『生を全うできる』という言葉にはっとしました。
授業の最後に、家族役をした学生が「『生を全うできるように』の表現は『死の宣告』と受け取った」「がん告知の日にそこまで言わなくても」と感想を述べました。
同じことでも伝え方で受け止め方が異なります。参加した約90人の学生は「医者は知識や技術も大事だが、相手の気持ちを思いやるためにも経験と教養が必要な仕事だと思った」と感想を漏らしました。その初々しい気持ちを忘れないでほしいと願います。
「見つめる」「見つめない」
住宅街にサルが出没した話を聞いたことがあります。あなただったら、もし、目の前にサルがいたら、とっさにどうしますか?
「目を合わせる」という行為は、互いに「あなたに関心があります」ということを表していることになりますので、愛情を感じている場合は「好意」の表現となり、敵対している場合には「敵意」を表すものとなるのでしょう。住宅街をうろうろしているサルの場合、人間と目が合うと、当然のことながら「敵意」と解して、攻撃してくるということなのでしょうか。
サルのことはさておき、人間にとっても「目を合わせる」「見つめ合う」ということはコミュニケーションの始まりとして、とても大きな意味をもっています。
生まれてまもない赤ちゃんにじっと見つめられた経験をおもちのお母さまは多いと思います。そのときのことを思いだすと、感動がよみがえってくることでしょう。赤ちゃんは母親の目を見つめて、「あなたはだあれ」とたずねているのでしょうか?「私を見ていてちょうだい」と訴えているのでしょうか?それとも「何かお話ししてちょうだい」とお願いしているのでしょうか?赤ちゃんに見つめられると、思わず「なあに?」と笑顔で応じたくなりますね。
もう少し大きくなって、言葉が発達してくると、子どもはまっすぐに親を見つめ、大きく目を見開いて、お話ししてくるようになります。お父さま、お母さま、その瞳をしっかりと受けとめてあげてください。見つめ合って、子どもの言葉に耳を傾けるということだけで、子どもは親の愛情を感じ、大いに満足するのです。
でも、いつもいつも子どもを「見つめる」ことだけが、愛情表現というわけではありません。「見つめない」方がよい場合もあります。親にじっと見つめられることをうるさく感じることがあるからです。このあたりが親子関係の難しいところですね。時にはちょっと視線をずらして、見ていないふりをするのも「センスある子育て」ということになるのではないかと思います。
笑顔
子育てが忙しい時期には、動物映画はもちろんのこと、動物の生態を扱ったテレビの番組を視る余裕などないという方がほとんどかと思いますが、時には野生動物を撮影した番組をごらんになるのもよいのではないでしょうか。
といいますのも、動物は育児書などを参考にするわけでもないのに、なかなか上手に子育てしますし、「うちももう少し直接的に餌のとり方を教えた方がいいかしら」などと思う場面があったりして、心の中の「自然」に揺さぶりをかけられることがあるからです。
チンパンジーの行動を研究している研究者がチンパンジーの子育ての様子を撮影したDVDがありました。撮影されたチンパンジーは人間に飼われているチンパンジーではありますが、母親チンパンジーの子育てはとても大変そうです。
子どもは少し成長すると、探索し、冒険し、いろいろ試してみようとします。人間と同じように、チンパンジーの母親は遊んでいる子どもを見守ったり、危険なことをしたがる子どもを引っ張って連れ戻そうとしたりします。子どもの「危険」にはかなり敏感です。子どもチンパンジーは遊んでいるときや何かがうまくやれたとき、本当に嬉しそうな表情をみせます。飼育係に積み木を積む方法を教えてもらい、それがうまく積めて大喜びしている場面がありました。子どもは身体をゆすり、笑顔で大げさにはしゃいでいます。ところがカメラがこれを見つめる母親を映し出しますと、なんと母親はじっと座ったまま、全く無表情なのです。「子どもがあんなに喜んでいるのに、一緒に喜んでやらないの?」
「チンパンジーのおとなはめったなことでは笑わないんだ」と研究者は言います。でも人間の親は子どもが嬉しそうだと嬉しいし、子どもの笑顔をみると、どんなに疲れていても笑顔になってしまうものではないのでしょうか。親子で笑いあえるのは人間だけなのでしょうか。
「子どもの喜びをともに喜ぶ」「微笑みをかわす」ということは、ひょっとしたらものすごく「高等な」ことなのかもしれないと思いました。もっと笑顔で!(でもこれがなかなか難しいのです。)
親子の会話
親子の会話その1:
子ども 「ママ、あそこにすごくきれいなお花がさいている!キレイダネエ!」
親 「よそのおうちのお花なんだから、さわったらだめよ。
さっさと歩きなさい。」
親子の会話その2:
子ども 「みてみて!逆上がりできたよ!もう一度やってみるから、
みててね!」
親 「その鉄棒よごれているから、ほらもうお洋服よごれてしまったじゃ
ないの。」
親子の会話その3:
子ども 「漢字のテストで1コまちがえて、90点だった。」
親 「正確に、きっちり覚えないからまちがえるんでしょう。
今度は100点がとれるようにがんばって。」
自分が親ではなく、子どもの立場だったらどんなふうに親が返答してくれることを望むでしょうか?子どもが赤ちゃんだったころ、親たちはどのようなことばをかけておられたか、覚えておられますか?まだ自らことばを話せない子どもに、離乳食を食べさせながら「おいしいね」、おむつをかえながら「気持ちよくなったね」と子どもの気持ちを代弁しておられたことでしょう。「おもしろかったね」「こわかったね」など、赤ちゃんを育てているときって、子どもの気持ちを親がそのまま自然に口にすることができたと思います。
今は? いつまでもそんなわけにはいかない・・?
まあ、そうなのですが、親子なのですから、子どもがどう感じているかを敏感に感じ取って共感しあえたら、お互いにとても豊かなやりとりになるのではないでしょうか。「きれいね」とか「うれしいね」か、肯定的な事柄ばかりではなく、「悲しいね」「淋しいね」なんていうことばも、子どもが感じていると思えば、親がことばにしてあげてほしいものです。
というふうに考えると、上にあげた「親子の会話」の「その1からその3まで」の親のことばが、どんなに子どもの気持ちからズレているか、どんなに子どもをガッカリさせているか、ご理解いただけるのではないかと思います。
もちろん「これが正しい会話法」というものなどありません。親にこころのゆとりがあれば、自ずと気持ちを受け止める「ゆとりことば」になることでしょう。親も子どもとともに「きれいね」「うれしいね」「よかっ
たね」とたくさん言えるといいですね。
父親の役割、母親の役割
いろんな人とのかかわりが子どもの豊かな人格をつくるのです
男性にも女性にも備わっている「父性」と「母性」
働くお母さんが増えたこともあり、近年、お父さんの子育てに対する役割が注目されるようになってきました。親も子も週休二日制が浸透し、父親が子どもと接する時間が増えたことも関係しているでしょう。とはいえ、中には仕事が忙しく、子どもと話をする時間すらないお父さんもいます。またシングルマザーやシングルファーザーなど、家庭の形も多様化しています。だからこそ改めて、子どもたちにとって父親とは何か、母親とは何か、理解しておくべきではないかと思います。
一般に、父性原理は「切断する」機能、母性原理は「包含する」機能を主とすると言われています。つまり父性は、子どもの能力や個性を見抜いて、強いものをつくり上げて行く役割。母性は、何でも受け入れる役割。どちらも人間の成長にとって大切なものです。父親は父性、母親は母性と思われがちですが、女性にも父性、男性にも母性があり、一人の人間がどちらもあわせ持っています。子どもには父親と母親が必要と言うより、父性と母性が必要と言った方が適切かも知れません。父親でも母親でも、父性・母性の良い面を、場面に応じて引き出すことが大切です。
いろんな人とのかかわりや豊かな経験が子どもを育てる
誰もが母性と父性を備えているのですから、母子家庭でも父子家庭でも子育てに問題はありません。ただ一人では、どうしてもパワー不足になりがち。子育てに限らず、何事においても、一人より二人の方が負担は軽くなりますよね。「二人分の役割をこなさなくちゃ」と気を張るよりも、「一人でできるわけがない」と思って肩の力を抜いてみましょう。肉体面でも、一人ではどうしようもないことがあります。例えば、子どもが感じる感触です。子どもは女性に抱かれている時やわらかくフワフワしていると感じ、男性に抱かれている時かたくゴツゴツしていると感じます。フワフワもゴツゴツも、子どもの「豊かな経験」の一つ。もうひとつ言うなら、女性と男性とは遊び方も違います。お風呂に潜ってみたりするような、一見乱暴に見える男性の遊び方に、子どもが大喜びしている様子を見たことはありませんか。優しく接するのも、大胆に遊ぶのも、いろんな人とのかかわりで経験できるのです。
もちろん子どもにいろんな人とかかわらせてあげるには、親自身の人間関係が豊かでなければなりません。おじいちゃん、おばあちゃんと一緒に住んでいる、親のお友達がしょっちゅう出入りしている・・・など、どんな形でも構いません。親がいろんな人とかかわりを持つよう心がけてみましょう。それが、子どもの豊かな人間関係、豊かな人格形成につながるのです。
子どもが小学生で、仲の良いお友達がいるなら、そのお友達の家へ泊まりに行かせてあげてもいいかも知れません。よその家は、子どもにとってまさに異文化。食事の習慣やお風呂の入り方など、家によってみんな違うので、そんなことを体験することも大切です。お父さんがいない子も、お父さんのいる家を経験することができます。また幼児の場合は、地域の子育て支援サークルに通うのも方法です。自分だけでがんばらず、いろんな人の力を借りることを考えてください。
母親は父親の良い面を伝える、
父親は子どものために時間をとる
子どもに、いろんな人とのかかわりを持たせてあげる。これは、一人で子育てしている親だけのテーマではありません。お父さんが子どもと接する時間が少ない家庭も真剣に考えてみてください。というのは、お父さんが多忙で、専業主婦のお母さんが一人で子育てを担当している家庭では、子育てのストレスがたまりやすいといわれています。そのような家庭で母親が子どもに愚痴ばかりこぼしていると、子どもにとって「お父さんは悪い人」になってしまいます。まずは、お母さんが子どもにお父さんのことをポジティブに伝えてください。「お父さんは、こんな仕事をしているんだよ」とか、「お父さんが、こんなこと言ってたよ」とか、良い面を伝えることで、父親とのふれあいの少なさをカバーしましょう。そして家に閉じこもらず、いろんな人とおつきあいするよう心掛けてみましょう。趣味を広げるのもいいかも知れません。もちろんお父さんも、子どもと接する時間をとれるように努力してください。
子どもがつきあう相手を親の価値観で選ばない
家庭の形態や事情はともあれ、子育て中の親にとって大切なのは、子育てを自分だけの問題として抱え込まないことです。「自分は母性が強いか、父性が強いか」と、自分の個性を客観的に分析してみるのもおもしろいことでしょう。自分がどういうタイプなのか認識していれば、足りない部分を他の人にお願いしやすいですよね。両親、友達、近所の子ども、よく行く店のおばさん、子育て支援サークルの担当者など、いろんな年齢のいろんな人に助けてもらいましょう。
この時、注意したいのは親の好き嫌いを押しつけないこと。「あの親とは話が合わない」「あの先生は教え方がよくない」「あの子どもは行儀が悪い」など、親の価値観で子どもがつきあう相手やつきあい方を安易に判断しないでください。特に小学生になると、子どもは親の知らないところでも交友関係を結びます。いろいろな人とのつきあいにはプラスになるものがあると信じて、子どもとかかわっていきましょう。
親子の会話が大事
話すこと、聞いてもらうことは自信につながる
うれしかったことも悲しかったこともまず、子どもの話を聞く
携帯電話やメールなどの発達で、人と人のコミュニケーションが多く取れているように思える昨今ですが、本当にそうなのでしょうか。実際は、直接顔を合わせてお互いがしっかり話し、聞き合うような場が、少なくなってきているように思われます。親子の間ではどうでしょうか。子どもとよく話をしていると思われる人も、親から一方的に話しているだけではないか、子どもが自らたくさん話をしているかどうか、一度振り返ってみたいものです。特に気にかけておきたいのは、子どもとの会話の中に「友だちとケンカした」「テストの結果が良くなかった」「先生に叱られた」など、「つらかった」「悲しかった」「がっかりした」話がたくさん出てくるかどうか。そういった、子どもにしてみれば親に話しづらいような話が出てこないようなら、注意が必要かもしれません。子どもは親の前ではいい子でいたがる傾向がありますから、良い面だけを親に見せて、本当に困ったことがあっても相談せず、自分の中にため込んでいるかもしれないからです。
もし子どもがダメな自分を見せたなら、それは子どもの思いをゆっくり聞くチャンスです。話を聞きながら、子どもの立場に立って、その時の子どもの気持ちをじっくり考えてみましょう。そんな親の姿勢を感じると、子どもは「親に話して良かった」と思います。「話して良かった」経験がある子どもは親を信頼し、何でも話すようになるでしょう。逆に子どもががんばってダメな自分を見せた時に、頭ごなしに「どうして、そんなにダメなあなたなの」と言ってしまうと、「親に話をしてもムダだ。話さないほうが良かった」となりかねません。
子どもの「つらかったこと」や「悲しかったこと」に共感することは、親からの「ひどい思いをすることになったあなた。そんなあなたを愛しているよ」というメッセージにもなります。ダメなところも愛してくれる親になら、子どもはいろいろなことを話せるし、相談できます。そして、どんな時でも、子どもを認めて、受けとめる。それによって親子の信頼が深まるとともに、子どもの中に、「これでいいんだ」という自信が育まれていきます。
たくさん話をする経験が大人になってからも役に立つ
大人も子どもも、毎日の生活では、うれしいこと、楽しいことだけでなく、つらいこと、悲しいことやみじめに思ったりすることがあります。つらい、悲しいといった否定的なことは人に話しにくいものです。しかし、そうした否定的なことも含めて、自分のいろいろな思いをそのまま口にすることは大切な自己表現の一側面です。話すことで、あらためて自分がどう感じたのかがはっきりしますし、どう話せば相手にわかってもらえるかを考えるきっかけにもなります。子どもが話をしようとしているのは、自分を表現しようとしている時。その時は、あまりこちらから根ほり葉ほり質問したりせず、まずはじっくりと耳を傾けてみましょう。途中であれこれと口をはさむと、子どもの話す意欲を損ないかねません。
自分の話をしっかり聞いてもらう経験がたくさんあると、悩みや言いにくいことも、だんだんと上手に伝えることができるようになります。それにつれて、自分の中で気持ちの整理もできるようになっていきます。否定的なことを日々周りに話す経験をしていないと、耐えがたいほどつらいことがあった時でも、「かっこ悪いところを見せられない」「自分で何とかしなくちゃ」と一人でがんばってしまいがち。しばらくはがんばれても、抱え込んだまま、本当にどうにもできない状況になるとパンクしてしまいかねません。やはり日頃から、子どもが何でも話せる関係が大切だと思います。
一人でがんばらず誰かに話を聞いてもらうのは、親も同じ
子どもの話を聞いてあげようとがんばる前に、親自身は、誰かに自分の話を聞いてもらえているか、振り返ってみませんか。つらいこと、悲しいことに共感してくれる人の存在は、大人の私たちにも、とても大切です。でも、子育てや仕事が忙しくて、ゆっくり話もしていられない、という状況かも知れません。そんな時こそ、自分の中の否定的な感情を、誰かに共感してもらえたら気持ちが楽になりますよね。一人ぼっちにならないで、身近な人に話してみませんか。
誰かに話を聞いてもらって自分の気持ちにゆとりができれば、子どもの話も余裕を持って聞くことができるようになるかもしれません。
子供の意見を聞きましょう
言葉や行動の奥には子どもの本当の思いがあるのです。
子どもの意見をきくことは、子どもの言いなりになることではない
子どもの意見を聞くということを「子どもの意見に従う、言いなりになる」ことのように受け取る人がいます。子どもの意見を聞くことは、子どももいろんなことを感じている、考えているのだ、と親が気づくきっかけになると考えてください。子どもの言葉を聞くと共に、言外にある子どもの気持ちをくみとり尊重することが大切です。
子どもは自分の思いを整理して、話したり行動したりしているわけではありません。だから、親としては子どもの言葉のはしばしや行動から、その背景にある思いを理解しようとする姿勢が求められます。なぜそんなことを言うのか、そんな行動をするのか。理由がすぐにはわからないことも多いと思います。そんなとき、親は「こういうことかな」と推測する余裕を持ちたいものです。子どもの深いところにある気持ちに近づく努力をし、思いやる姿勢が重要なのです。
子どもの気持ちを察して、それに応える行動を
子どもの言葉や行動からその思いを推し量ったら、親はその気持ちに寄り添ってみることが大切です。「あなたの気持ちはわかる」ということを伝えるのも重要。その上で、「私はこうした方がいいと思うわ。なぜなら・・・」と親の意見を伝えます。そのコミュニケーションの中で、子どもは自分の気持ちを表現できるし、親の思いも知ることができます。
これは叱るときも同じです。例えば、子どもが小さい弟や妹をたたくという行動があっても、単に叱るのではなく、「どうしてそんなことをしたのだろう」と考える余裕を持っているならば、「親をとられたような思いがして、寂しかったのだろう」などと気持ちをくんであげることができます。そんなときには、抱きしめてあげてもいいし、「○○ちゃん、大好きだよ」と伝えてもいい。
子どもは敏感なので、親がどう思っているかをよく感じ取ります。親が自分を大事にしてくれていることを子どもがきちんと感じ取れれば、「してはいけない」という親の意見も受け入れられるようになります。
親もしっかり考えることが大切
子どもの意見を聞くという行動は、親子ともども「自分で」考える力をつけていくということでもあります。「自分はこう思う」というやりとりが互いにできた上で、一緒に考えることを通して子どもも親も共に育っていけるのではないでしょうか。
子どもがこうしたいと言ったら、その通りにしなければいけないと思い悩んでしまうのは、親自身が子育ての中で、はっきりとした判断基準を持てていないためではないかと思います。叱るのも、それをやめさせたいという判断基準があってのこと。どういう人間にそだてたいかを、たえず、しっかり考えることが大切だと思います。
子どもに意見を聞いて、それに合わせるのではなく、親も自分の気持ちや意見を必ず伝える。そうする中で、相互に理解し合うと共に、親としても子どもと共に成長していけるのです。
やりとりの中で、柔軟性をつちかう
子どもの意見に対して、親が常に一貫性のある判断をすることは難しいものです。親も人間ですから、その時々で子どもへの対応が変わることがあります。日々の子育てには、判断基準を持つことに加え、柔軟性もまた大切です。子どもとのやりとりの中で、子どもの主張がもっともだと思えることもあるでしょう。「なるほど、それなら今度からこういうふうにしようか・・・」と提案してみてもよいかもしれません。
子どもの気持ちや考えを聞きながら、柔軟性をつちかっていきたいものです。
評価ばかりを気にしない
親の思い 子どもの思い
評価の観点が違う
親はどうしてもやる気や意欲よりもどれだけできたかの到達度の方を重視し、何ができたか、何ができなかったか、といったことについつい目を向けてしまいがちです。子どもとどう向き合うか考えてみましょう。"達成"のところだけを注目するのではなく、子どもがどんなことに意欲を持って取り組んだかということに目を向けてあげてください。
子どもは親の思いに敏感
子どもは、親が自分のどこを見ているかに非常に敏感です。親が思っている以上に、親の期待に応えたいと思っているものなのです。親が喜んでくれるのは、何ができた時なのか。何かに一生懸命取り組んだ時?それともテストの点数がよかった時?友達に親切にした時?子どもは親が期待することを、親の言葉や態度から敏感に察知して、知らず知らずのうちに、親の望む方向に合わせるようになっていきます。
親がテストの点数に目を向けると、子どももテストの点数を一番気にします。親が意欲や積極性を大切にすれば、子どもは自分からすすんで取り組もう、と思うようになります。
「ここまで、できた」ことをまず認めよう
テストで子どもが90点をとったとします。親はどうしても相対的な見方をして、「クラスで100点は何人いたの?」「A君やB子ちゃんはどうだったの?」と聞いたりしがちです。他の多くの子が100点をとっていて、自分の子が90点では親は満足できないのかもしれませんね。
でも、そのテストで90点をとったということは、9割が正解なのですから、よくできています。子どもは「家に帰ったらきっとほめてもらえる」と、自信をもってテストを見せることでしょう。その時、「よくできたね」ときちんとほめてもらえると、子どもは「次も頑張ろう」と思います。反対に、ほめられるより先に「他の子はどうだったの?」と言われると、子どもは「まだ、だめなんだな」と思ってしまいます。この時の親の態度の違いが、子どもの自信の芽を育てるか否かにつながっていくのです。
子どもの自信の確立や自己意識は、まわりが自分をどうとらえているかが多分に影響します。その中でも「親」の存在は子どもには最も影響力が大きいものといえます。
ですから、テストや通知表などを持って帰った時には、できていないことを問題にして叱ったり、クラス全体や他の子どもたちと比較したりするのは、あまりいいとはいえません。たとえ、思ったほどよくない結果であっても、子どもが「できたこと」に注目して、しっかり認めてあげましょう。
親は、子どもの味方に
先生と親と子どもの三者の関係を考えてみましょう。先生は学校生活において、子どもを見ている人ですね。学校生活においてどこまで子どもに力をつけさせるか、基準が国によって定められています。この基準によって子どもを指導、評価するのが先生の立場です。
親の立場は、当然、先生とは違っているはずです。先生が子どもに対して指導する側にいるのなら、親はどちらかといえば、子どもの側に立ってあげてほしいのです。そこに親としての大きな役割があります。
例えば、先生に、「字が雑だからていねいに書こう」とアドバイスされて、子どもが少し気にしていたとします。親の立場としては、「でも、書くのが速いんだよね」とまず、いいところを見つけてあげる。それから、「お母さんだったらそんなに速く書けないよ。でも、ていねいに書くことも大事だよ」というふうにフォローしてあげることです。たとえ、先生に叱られたとしても、「ここのところがとてもいい」と親が認めてくれているということは、子どもにとって自信につながります。その自信があれば、「もっときれいに字を書こう」という意欲も生まれてきます。そんな三者の関係が大切なのです。
先生に叱られたことと全く同じ観点や理由で、親にも叱られると、子どもには身の置き場がありません。親としては、つねに「絶対にあなたの味方でいる」という姿勢でいるよう心がけてみましょう。
自分の力を発揮できるような環境づくりを
子どもは、まわりの評価によって自分を理解し、自分という人格を形成していきます。自分をつくっていくうえで、自己肯定感はとても大事な要素です。ですから、その過程では、否定的な評価をあちこちで受けすぎない方がいいと思います。
親がほめてばかりだと、子どもが自分を見失うことになるのではないかと、心配する方もいますが、その心配はあまりありません。
例えば、運動はとても得意でほめられるけど、勉強が苦手な子がいるとします。その子は、運動に自信を持っていますが、運動ができるからそれでいいとは考えていないのです。やっぱり、勉強ができないということは自分で感じています。なぜなら子どもたちは、友だちどうしで「何ちゃんは○○が得意だ」とか、「何ちゃんは○○があまり上手じゃない」などと気軽に言い合っています。ふだんから、一番シビアに評価する友だちの目にさらされているのです。ですから、親がほめても自分を見失うわけではありません。ほめることは、親が子どものいいところを理解していると、子どもに感じさせることなのです。
また、「運動はできても勉強ができないからダメ」と叱ることも、逆に、「運動ができるから運動選手になればいい。だから勉強しなくてもいい」と決めつけることも、よくありません。幼児期から成人になるまでは、人格形成の途中です。バランス良くいろいろな側面を伸ばしてあげてください。それが強く生き抜いていく力につながります。
『愛語』と言う言葉があります。不自然にほめることではなく、「よくわかるね」「あなたならきっと上手にできるわ!」など、優しく愛のある言葉は、その言葉をかけられた人の心をプラス方向に向ける力を持っています。大人でも、愛語をかけられるとうれしいものです。子どもなら、なおさらです。
明るく元気で、愛語をかけられやすい子どもがいる一方、愛語をかけられにくい子どももいることに目を向けましょう。まわりの人から、愛語をかけられて育っていく子どもは、持っている力を十分に発揮できるといいます。
環境の変化への子供の適応
ゆっくりでも、「子どものペース」が環境になじむ早道です
子どものタイプを見極める
習い事や引っ越しなど、子どもが何か新しいことにとりくみ始めたり、周りの環境が大きく変化したりすることがあります。そんな時は、どの子どもも緊張していると思います。周囲の大人からも「がんばろうね」などと言われたりするので、子ども自身も気を張っているのではないでしょうか。親としては、新しい環境になじめるのか、気になるところです。
子どもと接しながら、子どもが環境になじみやすいタイプか、なじみにくいタイプかを見極めることが大切です。そのためには、まず保育園や幼稚園など、これまでと異なる環境に初めて子どもが飛びこんだ時のことを思い出してみましょう。親となかなか離れなかったり、立ったまま動かなかったりしませんでしたか?幼稚園の先生から「周りの子どもと遊びません」「教室に入ってもじっとしています」などと言われたことはありませんか?幼児の頃から子どものタイプを知る目安になるエピソードはいろいろあると思います。
「環境になじむスピード」は、子どもによって異なります。どんな環境でも平気な子どももいれば、ゆっくり時間をかけてなじんでいく子どももいます。中には、熱を出したり、食欲がなくなったりと、環境になじめないストレスが体に出てくる子どももいます。環境への適応スピードは、個性のひとつ。タイプをわかってあげることから、子どもと向き合っていきましょう。
ゆっくり時間をかけて対応を
子どもが「環境になじむ」というのは、少し大ざっぱに言いますと、その環境の中で、集団行動ができる、友だちができる、そこの大人たちと話ができる、すすんで出かけて行くなどの状態。逆に、みんなと一緒に行動ができない、友だちができない、そこの大人たちと話ができない、行きたがらないなどが「環境になじめない」状態です。
環境になじみにくい子どもは、いわば不安の強い子ども。自分なりに行動を起こして、「大丈夫」と思えるまで、ある程度の時間が必要なのです。たとえ、わが子が環境になじみにくいタイプだとしても、決して子どもを急がせず、親自身もあせらないでください。親が「他の子と一緒じゃないと不安だ」と張りつめていると、その気持ちが子どもに伝わり、よけいに子どもの不安が大きくなります。「この子は、なじむのに他の子どもの何倍も時間がかかるけど、大丈夫」とゆったりかまえて、親自身がリラックスすることが大切です。
新しい環境で迎えてくれる方に「うちの子は、時間はかかりますが、きっとなじみますから」とお話ししておいて、子どもをバックアップしてあげるのも一つの方法です。親や先生といった大人から早くなじむようにせかされると、自信をなくして「自分はダメな子どもだ」と自分を否定的にとらえてしまう可能性があります。もしも子どもがなじめないようでも、「大丈夫だよ」と気持ちを受けとめてあげましょう。気持ちをわかってくれる大人がいることで、安心して新しい環境になじめるようになります。
弱点や欠点がだせるように
親が子どものタイプを理解する際に気をつけたいのは、ほんとうは環境になじみにくいのに、無理をして平気にふるまっているケースです。こういうタイプの子どもは、「親から認めてもらいたい」「まわりからほめてもらいたい」と、自分の力以上にがんばっています。優等生で、何でもきちんとできる子どもほど、期待に応えようと無理をしている場合が多いので、「がんばりすぎていないかどうか」気にかけてあげることが大事です。無理を続けていると、いつか疲れてしまいます。普段から「いい子」の面ばかりを親に見せようとする子どもは要注意ですので、弱点や欠点を少しでも見せた時は「いいよ、いいよ」と受けとめてあげてください。親自身も弱点をかくさず、パーフェクトな人間は存在しないことを教えてあげれば、弱い面を見せるようになるかもしれません。新しい環境では、「平気にふるまおう」とさらに緊張感が強くなりますので、子どもがラクになれるよう、「慣れればちゃんとできるから、無理しなくて大丈夫」と言ってあげましょう。
親として心がけたいこと
親と子どものタイプが異なると、子どもの気持ちや態度を理解するのがむずかしいものです。「自分はスポーツが得意なのに、子どもは運動オンチ。何でもっと速く走れないの!」といったケースです。環境への適応力でも同じこと。お母さんが適応力のあるタイプの場合、「どうしてすぐに慣れないの!」とイライラしがちです。何とかしてあげたい気持ちはわかりますが、子どもが親と同じタイプとは限りません。子どもの個性をきちんと認めてあげましょう。
時折、子どもをコントロールできると思いこんでいる親を見かけます。でも、子どもには、子どもの"スタイル"があります。環境になじむのに3ヶ月かかる子どもに、「3日で慣れなさい」と言っても不可能です。子どもは思い通りにコントロールできないものと心得て、がんばりを見守ってあげたいものです。
子どもの気持ちを知るには、表情や動きをよく見ることです。「言わないとわからないでしょ」と叱るのではなく、子どもの気持ちを表情や動きから察してあげるのです。「子どもにはこうあってほしい」という思いが強すぎると、子どもの表情や動きを見るゆとりがなくなります。親自身が子どもへの敏感性を高めることが大切です。
子供の失敗に直面したとき...
「できないこと」より「できること」をしっかり認めてあげましょう。
子どもたちの感じる「失敗感」
子どもは、大人が思っている以上にいろいろなことを感じています。ただそれを言葉で表現する力がまだ未熟なため、うまく表現できずにいるだけなのです。特に「自分が親や先生から何を求められているのか」については、とても敏感に感じています。ですから、「親や先生がここまでできる」と思っていることに応えられなかった時に、「期待に応えられなかったという思い」、つまり「失敗感」を感じます。例えば、小さなことですが、"授業で手をあげられなかった" "ピアノの発表会でうまくいかなかった" "鉄棒で失敗した"などです。
また、自分ではちゃんとしているつもりでも、親や先生に「ダメだ」「何やっているの」と言われたりすると、「自分は失敗したんだ」と思ってしまいます。少年野球などで、大事な場面で打てなかった時や、エラーしたことで監督に怒られたりした時、失敗だと感じます。チームプレーでは自分の失敗が、まわりにも迷惑をかけていることになるから、なおさら落ち込みます。
小学校高学年や中学生になれば、自分で要求水準を決定するようになりますが、低学年の間は、まわりの人の、自分に対する要求水準が失敗感の基準であることも多いのです。それだけに親やまわりの対応がとても大切になります。
子どもに持たせたい「肯定的な自己感」
一回一回の失敗は、大人からみると、とるにたらないようなことでも、子どもにとって決して小さなことではありません。しかし、子どもは自分で回復する力を持っています。
回復のカギを握るのは、「自分はどういう人間なのか」を考える「自己観」です。「自分はいいところを持っている」「自分が大好き」というように自分に対して肯定的な自己観があれば、失敗しても「また頑張ろう」「次はできるかもしれない」と、自分で立ち直ることができるのです。
では、自己観はどうやって作られていくのでしょうか。それは、まわりの大人や友だちとの関わりのなかで形成されていく一面があります。子どもは仲間同士では、「○○ちゃんは何々が上手」とか「○○くんは下手だからやらなくていい」など、相手やまわりの優劣について、遠慮しないで口にします。そんなやりとりの中で、自分自身の得意・不得意を自覚しながら、自分に対する見極めができていきます。
そんな時に、親からも否定されたと感じると、「自分はダメなんだ」と自己観は否定的になってしまいます。学校や外で友だちにシビアな評価を下されているのですから、家庭では親がしっかり、子どもの味方になってあげることが大切です。
低学年の間は、「あなたはこれが上手」「あなたはとても素敵」ということを言葉ではっきり伝えて、肯定的な自己観が持てるようにしてあげてください。
親が気持ちを切り替えて余裕を持つこと
子どもが失敗して落ち込んでいる時に、とってつけたように励ましても回復にはつながりません。励まそうとして、その時だけ、ふだんと全く違う態度をとっても、子どもには伝わらないからです。では、どうすれば、子どもが自分で失敗を乗り越えられるのでしょうか。
子どもは、親の価値観の影響を大きく受けています。「スポーツのできる子どもに」という親と、「たくさん本を読んでほしい」と思っている親では価値観が違うため、それぞれの子どもの価値観も異なってきます。
例えば、スポーツに力を入れている家庭で、子どもがスポーツで失敗して落ち込んでいると、親の方も子どもと同じような価値観を持っていますから、親も子どもの失敗を見て落胆することになります。しかし、一緒に落ち込まれると、子どもは「自分のせいで親をがっかりさせてしまった」と思い、よけいにつらくなってしまいます。
こんなときこそ、親が気持ちを切り替えて、「今回はダメだったけど、キミならできる」「これはできなくても、他にできることがいっぱいある」と、余裕をもった対応をすることです。親が、そんなふうにいうだけで子どもは安心します。そして、「そうだ、自分にはこれがある」と、気持ちを回復することができることでしょう。
思ったほどよくない結果であっても、子どもが「できたこと」に注目して、しっかり認めてあげましょう。
察して受け止める。それが、親や家庭の役目
子どもが学校から帰ってきて何となく落ち込んでいる。そんな時、どのように対応してあげますか?「どうしたの?」と尋ねる過程で、子どもを叱ったり、傷つけたりすることはないでしょうか。そうしたことが度重なると、子どもの気持ちは親から離れていきます。親がどんな言い方をしても「この人は自分の味方なんだ」と子どもが思えることが大切だと思います。
「子どもは4歳ごろから秘密を持つ」といわれていますから、親は子どもが外で体験したすべてを把握することはできません。「何かあったんだろうな」と気づいた時は「元気ないね」と一言いうだけでよい場合もあります。
外で一生懸命頑張ってきて、帰ってきた時に温かく受けとめてもらえるのが家庭です。これは大人も子どもも変わりありません。家に帰ったら、自分のありのままを認めてもらえて、ほっとできる、帰ってきてよかった・・・。そういう家庭で育つ子は、失敗があっても自分で立ち直る力をつけていきます。
親だからこそ見つけられる子どものよいところ
学校の先生からは「漢字ができない」「計算ができない」と、しょっちゅう叱られている子どもでも、友だちと上手に遊べるようでしたら、親としては「仲良く友だちと遊べること」をほめてあげてください。
「キミはやさしくて性格がいいから友だちに好かれるんだね」「キミは将来、絶対に幸せになるよ」といわれて成長すると、きっと本当に幸せな人生を送ることになるでしょう。
いずれにしても、子どもが失敗に直面した時こそ、親の「大いなる愛のまなざし」が必要な時であることは、いうまでもないことです。
思春期の子供に対して...
信頼して見守り、自立をサポートしましょう
心と身体の成長がアンバランスな思春期
子供が小学校高学年になると、「以前は学校のことをよく話してくれたのに、最近はあまり話をしてくれない」「仲良しだったお友だちと急に遊ばなくなって、訳を聞いても教えてくれない」「子どもの部屋が汚いので片付けたら、反抗的な態度をとるようになった」といったことが、よく聞かれます。これは、子供が"思春期"に入り、小学校低学年の頃とは変わってきていることのシグナルです。しかし、親は子供のこうした変化(成長)に気づかないことが多いようです。
思春期は、"子供から大人への過渡期"であり、心と身体の成長がアンバランスで、とても揺らいでいる時期です。そして、急激な身体の変化に戸惑いながら、精神的な不安と葛藤の中にいます。
友だちとの関係も変化していきます。低学年の頃は帰り道が一緒、席が近いなど身近であれば仲良くしますが、高学年になると自分と感性の合う、内面的に分かり合える友だちを求めるようになってきます。
また、親子の関係も、親が保護し、子供が依存するといった親と子の関係から、個々の人間同士の関係に発展していきます。そのことを親も自覚する必要があるでしょう。
思春期は親離れの第一歩です
小学校高学年の頃になると、子供たちは外の世界や周りを見て、いろいろなことの見方が変わったり、友だちや先生との関係が広がっていきます。友だちの親や家族はどうか、社会はどうかといったことにも目をむけるようになるのです。自分の親や家族のあり方などに疑問を抱き、さまざまな質問をしてきたり、自分の意見も述べるようになります。
親に対する見方もずいぶんと変わってきます。それまで絶対的な存在で、信頼しきっていた状態から、親を一人の人間として見るようになり、それとともに、「うるさいなぁ」「放っておいて」など、反抗的な言葉を使うようにもなってきます。
こうして思春期を迎えた子供たちは少しずつ親離れをしていきます。親に干渉されるのがうっとうしくなる反面、全く無視されても不安を感じます。そうして、親とくっついたり離れたりしながら成長していきます。
秘密を持ち始めるのも親離れのひとつ
福井県の丸岡町が主催した一筆啓上賞『日本一短い「母」への手紙』の受賞作品に、11歳の男の子の「お母さん、ぼくの机のひき出しの中にできた湖をのぞかないで下さい」という作品があります。この作品には、思春期の子供の心理が見事に描かれていると思います。
このくらいの年齢になると、好きな人ができたり、性に興味を抱くようになり、友だちには話せても親には話せないことや自分だけの秘密を持つようになります。『机の引き出しの中にできた湖をのぞかないで下さい』という文章は、そっと見守ってほしいといった思いがこめられているようにも思えます。
子供が秘密を持つのは、それだけ人間性を深め、深い心の持ちようを経験していくということです。その点からいうと、何でも親に見せて秘密を持たないので安心というわけではないのです。
最近、何でも言い合える「友だち親子」が増えているといわれますが、子供が秘密にしたがっていることについて、「何でも見せて」などと気軽に言わない方がよいかもしれません。親には親の、子供には子供の世界があり、世代の境界や育てる側・育てられる側という境界があります。そのけじめを崩してしまうと、親子の関係そのものが崩れてしまうこともあるのです。
子供の気持ちを受容しましょう
子供のことで知らないことがあったり、反抗されることは、親にとってはとてもさびしいし、不安なもの。でも、この時期、親も子供は子供の人生を歩んでいくのだという覚悟をしなければいけないのでしょうね。
もちろん、思春期でも、子供は嫌なことがあった時などは、やはり親に話したいと思っています。そんな時、頭ごなしに叱られたり、親の意見を押しつけられたりすると、子供の気持ちはどうでしょうか。まずは、子供がどんなことを言ってもできるだけ子供の気持ちや考えを尊重し、上手に聞いてあげる親であることが大切でしょう。
そして、理由もわからないまま不安になっている子供に対して、「どんな状態になっても、私は絶対にあなたを見捨てない、大事に守るよ」という姿勢をしっかりと親が示してあげてください。
子供が自分で責任をもてるようサポートしましょう
思春期とは自我が確立し始め、主体性が培われる時期でもあります。それまでは親が子供のいろいろなことを決めてきたかもしれません。しかし、この頃から親の方でも努めて「あなたが考えて選んでごらんなさい」というメッセージを伝えていくのがよいように思います。子供はどこかで親に嫌われたくない、と思っています。だから、「お父さんやお母さんが喜ぶだろうと思ってそう決めた」ということもあるかもしれません。そんな時でも「親と意見が違っても大丈夫」ということをしっかり伝えることは大切でしょう。
そして、親が介入しすぎることなく、いつも子供が「最終的には自分が考えて決めた」と思えるようにして支えてあげましょう。
「少しずつ、自分で責任を持って行動していこう」「親はいつも温かく支えてくれている」そのように思えることが、自立した大人になるためにはとても大切なことのようです。
子供の思春期は、親子ともども大きく成長するチャンスでもあります。この絶好の機会を前向きに受けとめ、子供の成長をゆったりと見守っていってほしいと思います。
子供を比較しないで!
子供は人格形成中
─比較されることで深く傷つきます─
子どもを他の子と比較しないように、とはよく言われることです。なぜ比較するといけないのでしょうか。
幼児から小学校入学の頃は人格の基礎が形成される途上にあります。「人格の形成」というのは、「あなたはこんな人ですね」という周りの言葉や行動を通して「自分はどういう人間か」ということを自分で理解していく一面も大切です。自分で自分のことがよくわかっていないこの時期は、子どもは不安がいっぱいの状態。「自分はどういう人か、自分の存在は認められているのか」を、何回も確かめずにはいられません。幼いときは親以外の人と接することがまだまだ少ないので、親の言葉が最大の、そして唯一の支えなのです。その時に、親から他の人と比較されて叱られたりすると、その不安が助長されてしまいます。人格の形成にも大きな影響を与えるのです。
この時期は特に、子どもに対する言葉や、逆に子どもたちからの言葉に深く注意を払っていくことが大事です。親自身は何気なく言ったことや後で忘れてしまっているようなことでも、子どもの心にはしっかり刻まれていることがあります。
比較して叱られると、子供は
「自分自身を否定された」と受け止めてしまいます
親の立場からすると、きょうだいやよその子どもたちとつい比べてしまいがちです。次の2つの叱り方を考えてみてください。
a 「外から帰ってきたら手を洗わないとダメでしょ」
b 「お兄ちゃんはちゃんと手を洗うのに、あなたはどうしてできないの」
どうでしょうか。比較しない時(a)は行動そのものがポイントになっています。比較した場合(b)は行動そのものよりも「お兄ちゃんはできるのに、あなたはできないダメな人」というメッセージが感じられませんか。
親はそんなつもりではなくても、子どもは比較のところしか受け止められず、自分自身を否定されたと思ってしまいます。「自分はこれでいいのだ」という自分への信頼を形成していく段階では、子どもたちが傷つくことになりかねません。親の言葉や行動のひとつひとつが子どもの気持ちに決定的な意味を与えてしまうことにもなるのです。
直接の比較でなくても、子供にとっては
比較されているのと同じ意味をもつことがあります
子どもはほめることが大事と言われるのも、親の影響力がとても大きいからです。ほめすぎると、図に乗ってしまうのではと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。一番大事な親から認められていると感じることで、安心して自分に自信を持つことができるのです。
ただし、ほめる時に気をつけないといけないことがあります。それは、きょうだいがいるときに、片方だけをほめることです。ついしてしまいがちなことですが、これも比較したことになります。ほめられなかった方にすれば、「じゃあ、僕はダメなの?」と感じるからです。「お兄ちゃん、上手だねえ」と言うと、弟が「僕は?僕は?」というご経験もおありだと思います。そんな時は「あなたはここがすごいね」としっかりほめてあげてください。
親が子どもを、自分自身と比較していることもあります。「私はこんな性格なのに、この子はそうではなくて...」「私が子どもの頃は、こんなことはできていた」などと言われる方がいらっしゃいます。これも、子どもにとってはありのままの自分を受け入れてもらえず、自分を否定された、と感じることにつながります。
子供のなにげない質問にも、実は深い意味があります
下の子が赤ちゃんだったり、よその赤ちゃんを見たりした時、「私が赤ちゃんの時どうだった?」など聞いてくることがあります。そんなときは、「この子と同じで可愛かったよ。○○ちゃん、本当に大きくなったね」「あの時はおしゃべりできなかったけど、今はよくしゃべれるようになったね。いっしょにお話できて、うれしいな」などとやさしく答えてあげてください。
こういった何気なく聞こえる会話でも、子どもとのいい関係をつくる絶好のチャンスです。こういう質問をするのも親から愛されたいという気持ちの現れであり、親が自分をどれだけ大事にしていたかを確認したいのです。その時、子どもの質問を流してしまうと、なかなか満足せずにくい下がります。
子どもを他人と比べるのではなく、小さかったときのことを思い出していろいろお話してあげましょう。「赤ちゃんのときからずっとあなたを見ている」ということ、そして「あなたが成長していることがうれしい」ということが伝えられれば、子どもたちは今の自分に満足することができ、とても安心します。
子どもが何かした時に「お母さん、見て、見て」と呼びかけてきます。これも、親の愛情を確認したいという気持ちのあらわれです。親としてはいつものことなので、他のことに手を取られていたりすると、つい上の空で返事をしたり、うるさがったりしてしまうことがあります。またか、と思っても、子どもが何か声をかけてくる時はできる限り聞いてあげてください。それが子どもとのよりよい関係づくりの基本と言えるかもしれません。
「ボクはボク!」「私は私!」と子供は心の中で
いつも主張しています
人格の基礎を形成する時期、子どもたちはみんな「ボクはボク!」であることを認めてほしいと思っています。なにより大切なのは「そのままのあなたを、周りのみんなが認めているのよ」といろいろな機会に伝えることです。子どもの人格形成において、親の役目は意識している以上に大きいものです。
気を付けてほしい「子供のしかり方」
叱る前に一呼吸おいて「子どもの気持ち」を考えてみましょう
しかられたときの記憶が、大人になってからも大きな影響力をもつことがあります
非常に印象に残っている過去の場面として、叱られた時の話がよく出てきます。本人もずっと忘れていて、成長してから何かのタイミングで思い出すこともあるようです。親の方はおそらく忘れてしまっているであろうエピソードを子どもの側では鮮明に覚えていて、実は小さい時の記憶が心の奥にずっと残っているとわかります。
小さい時から親が恐かったと話す人に、どう恐かったの?と聞いても、うまく話せません。どんな時に恐かった?と聞くと、たとえば学校の成績が悪くて叱られた時、と言うそうです。親に「どうしてこんな成績をとるの?」と言われても、子ども本人はわかりません。普通にしていても、成績が悪い時というのはよくあることです。子どもが黙っていると、親は感情がエスカレートし、一方的に子どもにぶつけてしまいます。こうなると子どもはますますおそろしくなり、自分の気持ちを話せなくなってしまいます。
子どもは、小さい時ほど、うまく自分の気持ちを言語化できないものです。「どうしてこんなことするの!」と怒られても、本人もわからない。何か言いたくても、うまく言えず黙ってしまう。子どもは追い詰められます。その時は、何が起こっているのか、大人がなぜそんなに怒るのかわからず、ただすごい形相の親を前にして、恐怖心だけが残ります。
行為を受容するのではなく、「気持ち」を受容してあげましょう
受容してあげるというと、叱っちゃダメなの?と思う人がいます。悪いことをしたら、行為は叱っていいのです。ただ、どうしてそうしたのか、それをした後どう思っているのか、親として思い返す態度が大切です。あらゆる行為は、何かそうしたくなる気持ちが子どもにあってのことです。例えば、モノを壊してしまった時でも、もしかすると別のモノをかばおうとして壊してしまったのかもしれません。下の子をいじめるのだって、自分に関心を向けたいからかもしれません。ただ、「どうしてそんなことをしたの?」と聞かれても、子どもは正確には答えられない、ということを踏まえておく必要があります。子どもがその時どう感じているか、そこに思いをはせることができれば、親も無茶な怒り方にはなりません。
とはいっても、後からふり返って気づくことはあっても、叱っている最中に子どもの気持ちのことまで考えるのはなかなか難しいものです。
むしろ、日常の会話の中で子どもの声に耳を傾けるようにすると、子どもは思いもかけない感性や親へのいたわりの気持ちをみせてくれます。
「子育ては自分育て」とよく言いますが、子どもに育てられる部分が大きいと思います。自分も子どもに育ててもらう、くらいの気持ちで、ゆったりと楽しみましょう。
小児がん
小児がんは、すべてではありませんが、遺伝的な素因が関与する要素のあることが、大人のがんとは違います。子どものがんは「生活習慣病」とはいえないのです。
小児がんは、15歳未満の子どもにできるがんで、日本では毎年2500人が新たに小児がんにかかり、現在約1万7000人の子どもが、がんと闘っています。これは、およそ小児1000人に1人に相当します。
子どもの死因としては、「不慮の事故」に次いで2位、病気による死亡原因の1位です。
大人に多くみられる胃がん、大腸がん、肺がんなどは、小児はほとんど発症しません。こうした大人のがんは、粘膜など臓器の表面からできますが、子どものがんは、血液や骨、肉といった、体の奥からできる「肉腫」が多いのが特徴です。
白血病が小児がんの約3分の1を占め、脳腫瘍(しゅよう)、神経芽細胞腫の順で続きます。
小児がんは、種類によって発病しやすい年齢があります。網膜芽腫(網膜のがん)は乳児に、白血病は2~5歳に、骨肉腫は10代に多く発症します。また、生まれてすぐに診断される先天性のがんも少なくありません。
小児がんの研究が進むにつれて、一部の小児がんの原因が「がん抑制遺伝子」など、特定の遺伝子の突然変異であることが分かってきました。たとえば、網膜芽細胞腫が両目にできる場合、「RB1遺伝子」というがん抑制遺伝子に、ほぼ100%突然変異が起こっています。
小児がんは、大人のがんと比べて抗がん剤や放射線治療がよく効きます。
小児がんで一番多い急性リンパ性白血病は、約40年前までは不治の病と考えられていましたが、今では8割が治癒しています。大人のがんを含め、治癒率が最も改善したがんです。
一方、小児がんは、発見が遅れがちで、治療後の後遺症も少なくありません。
テレビの見過ぎが原因...
成人後のファーストフード好みは10代のテレビの見過ぎが原因
1日5時間以上テレビ(TV)を見ている10代の若者は、成人後にファーストフード嗜好(しこう)になりやすいとの研究結果が報告されました。
中学生564人と高校生1,366人のデータを収集。1日あたりのTV視聴時間と5年後の食生活を検討したそうです。その結果、1日5時間以上TVを見ていた高校生は、5年後、果物や野菜、全粒穀物、カルシウムの豊富な食品はあまり摂らず、スナックや揚げ物、甘味飲料、トランス脂肪酸を含む食品を多く摂取していました。
「ファーストフードレストラン、スナックやその他の不健康な食品のコマーシャル(CM)を見る時間が長すぎることが関与している。TVを見ながらの食事は、CMで見る食品を摂取する可能性を高める。子どもの食生活を健康的にするには、親がTVを見る時間を制限し、健康的な食習慣を身につけさせることが必要。TVは1日2時間以内にすべきである」という意見もあります。
今回の研究で、TVの見過ぎ、特に食品CMの見過ぎは子どもの食事に影響を及ぼすことが判明しました。また、TVを見る時間が長い思春期の若者の1日のカロリー摂取量は、適度な時間しか見ない若者に比べて、約200カロリー多いことが示唆されたそうです。
子どもも親もTVの前に座って過ごす時間を減らす努力をすべきことを示す明らかな証拠です。研究からは、ジャンクフードのCMと"カウチポテト(四六時中TVの前に座り間食すること)"的ライフスタイルのどちらが、あるいは両方が悪い食生活の原因となっているのかは明らかではありません。いずれにせよ、食事中はTVを見ないなど家庭内でのルールづくりが必要であるようです。
「自分には関係ない」...と、言わないで!
今の社会のほとんどの問題で悪に対して『自分には関係ない』と言う人が多くなっている。
自分の身にふりかからない限り見て見ぬふりをする。
それが実は、悪を応援することになる。
私には関係ないというのは楽かもしれないが、一番人間をダメにさせていく。
自分の人間らしさが削られどんどん消えていってしまう。
それを自覚しないと悪を平気で許す無気力な人間になってしまう。
どんなに小さな悪に対しても、決して許してはいけないのです。そこから悪がエスカレートしていくのです。
今の世の中、人と人が殺し合う戦争や、平気で人の命を奪う事件、そして、いじめを苦にした自殺など、悲しいニュースを見る度に怒りの気持ちでいっぱいになります。一体どれだけの人がそれらのニュースに対して真剣に向き合っているのでしょうか。
たとえ、どんなに困難な壁にぶつかって悩んだり、苦しんだりしたとしても、命さえあれば必ず前に進んで行けるんです。健康な体で、家族や友達とあたり前のように毎日を過ごせるということが、どれほど幸せなことかということです。
本当の幸せって何だと思いますか。
今生きていることに感謝して、悔いのない人生を送ってください。
ある学童クラブでの子供たちの変化
語り手から見た子供たちの変化
二十数年前から、幾つかの学童クラブへ、月に一回の割でお話を語りに行っている。各クラブには一年生から三年生まで、30~40名の児童が在籍している。
彼らが学校から帰って一息入れた頃(大方は三時半)私たちが到着すると、外で遊びたい子、何か他の事をしたい子等あって、いつも全員が喜んで迎えてくれるわけではないけれど、初期の頃には、
走りよって来ていろいろと話しかけて来る子が多かった。手に飛びついたり、肩に抱きついたりと、スキンシップを求めているかのような子も目立った。
いかにも一年生らしい微笑ましい悩みを真剣な様子で訴える子、大事な秘密を教えてあげるというように、将来の夢を打ち明けてくれる子、かと思うとまだ三年生なのにそんなに深刻な問題を・・・と、返す言葉につまってしまうような心配事を相談して来る子。彼らは、自分たちの持っている言葉を一生懸命探り出し、繋ぎ合わせて、なんとか気持ちを伝えようとがんばってくれた。私たちは、お話を語ること以外にも、そんな彼らの求めに応じて、できる限り話し相手になったりした。そうした会話の端々に、彼らの家庭での様子を彷彿とさせるものがあって、微笑ましかったし私たちとのコミュニケーションも深まっていった。こんな風に信頼関係ができていくと、お話を聞いてもらえることにもつながって、想像以上に楽しい「おはなしの世界」を共有することができた。
しかしここ数年、子どもたちから極端に言葉が少なくなったように思う。私たちに対して特によそよそしいわけではないけれど、お友だちとの間でも、黙って向かい合ってマンガを読んでいるとか、一人がしているゲームを両脇から覗き込んでいる等の姿が目につくようになった。児童館の中にあるクラブなどでは、クラブ室から児童館の部屋に移って、何人かがかたまって各々がゲーム機を手にして、無言でゲームに熱中していたりする。担当の職員らと話していても、こちらのいうことがなかなかストレートに伝わり難く、少し強くいうと「キレル」状態になってしまう子も、多いという。私たちと彼らとの会話も当然少なくなったので、今では彼らの家庭の様子を想像することは難しくなった。
それは特に必要ないことのようだけれど、幼い人たちに「お話」を語る者にとって、「今、彼らの心の中がどうなっているのか」、あるいは「家庭でどんなことが話題になっているのか」が、ある程度解らないと「お話」を選ぶことが難しい。「家族個食」などという言葉があるらしいけれど、家族が揃って食卓を囲み、一日の出来事を楽しく語り合うということが、少なくなっているのではないだろうか。
親が、大人が幼い人たちに言葉をかけてやらなければ、彼らは言葉を獲得していくことができない。語彙がとても少なくなって、自分の気持ちを表現することができないもどかしさが、「キレル」という状態につながっていく気がしてならない。
昔話はじめ物語の世界には、豊かな言葉がいっぱい。でもそれを語るなり読むなりして理解してもらうためには、日頃から彼らの心を育てるような「言葉かけ」を、きちんとしておかなければならないのではないだろうか。
鳥インフルエンザウイルスを10分間で検出
医療用検査機器大手のシスメックスは大阪府立公衆衛生研究所(大阪市)と共同で鳥インフルエンザウイルスを10分間で検出できる簡易検査キットを開発したそうです。
鳥インフルエンザウイルスから変異し、ヒトへの感染力を強めた新型インフルエンザが出現した場合も検出できる可能性が高いということで、大流行(パンデミック)に備えて製造販売承認の早期取得をめざしています。
のどの粘膜を綿棒でこすって表面の液体を採取し、抽出した成分を専用の試験紙に垂らすと、鳥インフルエンザウイルスが含まれる場合は青く発色するのだそうです。
鳥インフルエンザウイルス内部にある特定のたんぱく質に反応して発色する仕組みです。
この実用化で、流行が未然に防げたらいいですね。
脳内に薬剤が運ばれる様子を画像に...
脳腫瘍(のうしゅよう)の抗がん剤が、脳内に運搬される様子を画像で示すことに、放射線医学総合研究所(千葉市)が世界で初めて成功したそうです。
薬の効果の判定が予測しやすくなるため、患者の特性に応じて抗がん剤の投与量を調整する手法の開発につながりそうだということです。近く、米専門誌に掲載されます。
脳には「脳血液関門」という構造があり、薬剤が入りにくいのだそうです。これまでは投与した抗がん剤が脳にどの程度運ばれるか、直接確かめることができないため、がんの縮小率などを指標に、薬の効果を判定していました。
研究チームは、国内未承認の脳腫瘍の抗がん剤に、造影剤を結合した薬剤「SLENU(スレニュー)」を開発。この薬剤をマウスの静脈に注射したところ、20秒後に脳内に薬剤が運ばれている様子が、MRI(磁気共鳴画像)で観察することができました。
また、スレニューは、がん細胞が死ぬときに出る活性酸素で性質が変化するため、この薬剤でがん細胞がどれくらい死んだか、治療効果を判定することもできるというのです。
ウイルスや細菌などの感染で発生するガン
国際がん研究機構(IARC)の報告(2003年)によれば、全世界でウイルスや細菌などの持続感染が原因で発生するがんの割合は、18%程度と推計されています。
日本では、感染によるがんの占める割合は比較的高く、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)による肝がん、ヒトパピローマウイルス(HPV)による子宮頸(しきゅうけい)がん、ヘリコバクター・ピロリ菌(Hp)による胃がん、ヒトT細胞性白血病ウイルス(HTLV-1)による成人型T細胞性白血病・悪性リンパ腫などが、大きな問題となっています。
そのほかに、EBウイルスによる悪性リンパ腫や鼻咽頭がん、ビルハルツ住血吸虫による膀胱がん、タイ肝吸虫による肝がんなどが知られています。発がんのメカニズム、持続感染者の発がんリスクは、感染体やそのタイプによってさまざまです。このような感染に起因するがんは、先進国全体では9%と比較的低いのに対し、発展途上国では23%におよびます。発展途上国では感染が広がりやすい一方で、対策が遅れがちな状況を反映しているのでしょう。
日本では、胃がん、肝がん、子宮頸がん、成人型T細胞性白血病・悪性リンパ腫は、ほぼ感染者から発生すると考えられています。胃・肝臓・子宮頸部のがんの年間罹患数(2002年の推計)は、それぞれ、106,800、40,600、15,500で、合計162,900となり、日本のがんの約4分の1以上を占めることになります。
この背景には、日本における感染者数の多さがあります。正確な統計はありませんが、Hpに感染したことがあるのは数千万人(50歳以上では8割以上というデータもある)と推定されます。HBV・HCVは発がんリスクとなる慢性感染者だけで数百万人、そして、HPVは多くのタイプが知られ、性交経験のある女性の大半に感染歴があり、その中にハイリスクとなるタイプの慢性感染者が紛れ込んでいると考えられます。
また、成人型T細胞性白血病・悪性リンパ腫は、年間1,000人程度が罹患していますが、日本全国で120万人程度がHTLV-1感染しているとの推計があります。
いずれも、感染者のうち実際にがんになる人は一部であり、感染予防とともに、感染者の掘り起こしとその発がん予防が重要な課題と認識されています。感染による発がんでは、どのような人ががんになりやすいのかを、病原体のタイプなどの違いから探るとともに、感染者側の生活習慣の違いからも探り、両者をつき合わせて考える必要があります。
Hpの存在が確認され、胃潰瘍との関連が、西オーストラリア大学のマーシャル教授とウォレン博士により報告されたのが1983年のこと(2人は、この功績により2005年にノーベル医学生理学賞を受賞した)。そして、IARCによって胃がんとの関連が確実なものとされたのは1994年と、その歴史はまだ浅いのです。
胃がんに罹患した約500人と罹患していない500人について、1990~94年の研究開始時点(胃がんに罹患していない状況)で提供していただいた血液のHp菌に対する抗体を測定して比較してみました。その結果、胃がん罹患者の99%から抗体が検出される一方、非罹患者でも90%に感染の証拠を認めました。つまり、Hp感染の既往がなければ胃がんにはほとんどならないのですが、感染者(現在の中高年の90%が該当)のうち胃がんになるのはごく一部ということになります。
Hpは抗生剤を用いた除菌が可能であり、胃潰瘍や十二指腸潰瘍に対しては保険適応とされています。さらに、それによる胃がんの予防も期待されるところです。ただし、おそらくは幼少時に感染したであろうHpを、中高年期に除菌することによる胃がん予防効果の是非については、現在、研究が進められている段階です。これまでのところ、早期胃がんを内視鏡により切除した患者グループに対する除菌による胃がん予防効果を示す確かなデータはありますが、対象を一般住民にまで拡大して応用するためには、除菌による副作用の状況を含めて、さらなるエビデンスが待たれます。
胃がんについては、禁煙や減塩(特に、高塩蔵食品の制限)、野菜・果物の摂取などの確立したリスク軽減法もあるので、まずは、生活習慣の改善が試みられるべきではないかと考えています。また、感染していれば、胃がんに罹る確率が高いので、年1回の胃がん検診は欠かせません。
ガンは遺伝するの?
がんは、基本的には遺伝する病気ではありません。しかし、非常にまれですが、遺伝的な理由によってがんができやすい家系があります。こうしたがんは、全体の5%程度で、「家族性腫瘍(しゅよう)」と呼ばれます。
がんは、DNAが複製されるときのコピーのミスによって、遺伝子にキズがつくことが原因です。がん発生に関する重要な遺伝子に「がん抑制遺伝子」があります。これは、体の細胞ががんになるのを防ぐ働きを持ちます。
私たちのDNAは、父から半分、母から半分を受け継ぎますから、がん抑制遺伝子も二つ持っていることになります。がん抑制遺伝子が二つともキズつくまでには、長い年月がかかりますので、がんは高齢者の病気といえます。
ところが、家族性腫瘍の患者の遺伝子を調べると、片方のがん抑制遺伝子に生まれつき突然変異があるのです。この突然変異は、すべての細胞にありますから、残る一つのがん抑制遺伝子にキズがつくと、がん抑制遺伝子が二つとも働かなくなり、がんが発生します。
矛から身を守る盾が、普通は2個あるのに、生まれつき1個が壊れていて、1個しか使えないようなものと言えます。このため、家族性腫瘍の場合、若いときにがんができ、多くの臓器にがんが発症する傾向があるのです。
この変異したがん抑制遺伝子は、親から子へと受け継がれます。両親のどちらかに突然変異がある場合、次の世代に受け継がれる可能性は50%ですから、子どもが4人いると、2人が変異したがん抑制遺伝子を持って生まれる計算になります。
ただし、変異したがん抑制遺伝子を持っていても、がんにならないこともあります。一方、がん抑制遺伝子が二つとも正常でも、がんができることもあり、家系の特定は困難です。
こうした家族性腫瘍は、大腸がん、乳がん、卵巣がんなどに見られますが、あくまで例外で、多くのがんは「生活習慣病」です。がんにならない生活をして、なっても検診で早期に見つけることが大切です。
ガン患者の食事
病院外でがん患者と家族の相談に応じる「がん患者・家族総合支援センター」(柏市若柴)で、抗がん剤や放射線療法を受ける患者と家族向けの料理教室が好評だそうです。
治療の副作用による食欲不振、吐き気、口内炎といった症状に応じた食事の工夫を提案するもので、市医師会と連携して同センターを開設した国立がんセンター東病院が、昨年9月から始めたものです。
「楽しく無理なく食事をするヒントを得られた」。「家でも作ってみたい」。と、これまで8回開かれた参加者アンケートにはこんな感想が並びます。
教室では毎回、テーマを決め、症状の起きるメカニズムを講義し、季節に合った料理を実演、試食を楽しんでもらいます。
第1回は残暑の時期だったため、「吐き気で食欲がないとき」をテーマに、そうめんと絹さやのすまし汁や翡翠(ひ・すい)なすなど、においを抑え、冷たく頂けるレシピを提案しました。
12月は「行事を楽しむ―貧血があるとき」。
がん細胞の増殖を抑える抗がん剤は、正常な細胞も傷つけ、血液を作る骨髄の働きが低下する「骨髄抑制」を引き起こし、体に様々な影響を及ぼす恐れがあります。その一つが赤血球の減少による貧血症状です。さらに食欲不振による栄養不足も、貧血の要因となります。鉄分を補う食事として、貝類、レバー、赤身肉など、動物性食品を使い、手軽に出来るメニューを管理栄養士が実演しました。
1月22日は「冬野菜を美味(おい)しく食べる―味覚が変わってきたとき」で、味覚異常の要因の一つ、亜鉛不足を取り上げ、亜鉛を豊富に含む食品を活用するパスタなどを紹介しました。
通院でがん治療を続ける患者が増えるなか、「家庭での食事の悩みに応える場を地域につくることが大切だと考えました」と企画・運営する同病院。食が進まなくなると体力・気力が低下し、治療の継続が困難になることも懸念されるといいます。
原則として、月に2回(第2、4木曜日)の開催。回を追うごとに参加者は増え、半数はリピーターだそうです。つくばエクスプレス柏の葉キャンパス駅すぐの便利さから、東京や埼玉からの参加者もあり、「同じ境遇の患者や家族同士で、安心して話ができ、気持ちを解放できる場にもなっているようです。話が弾み、試食時間が長引くこともあります」ということです。
パーキンソン病「ペリー症候群」
パーキンソン病の一種、関与の遺伝子特定 福岡大など
手足の震えや動作が緩慢になるなどの症状が出るパーキンソン病の一種で、遺伝性の「ペリー症候群」の患者に共通する遺伝子変異を、坪井義夫・福岡大准教授(神経内科)と米国の医療機関などのグループが突き止め、米科学誌ネイチャージェネティクスに発表しました。
パーキンソン病は遺伝によらない「孤発性」が約9割を占めるとされていますが、坪井准教授は「症状の進行が早いペリー症候群の遺伝子の特定は、孤発性パーキンソン病の発症メカニズムの解明にも役立つ」と話しているそうです。
ペリー症候群は1975年にカナダで確認されて以来、日本を含む世界の8家系でしか見つかっていない極めてまれな疾患です。40歳代前半での若年発症が多いのが特徴です。
坪井准教授が福岡大の山田達夫教授らとともに2001年に日本で初めての家系を報告して以降、発症者と非発症者を含む全家系の約60人の遺伝子を調査した結果、既に発症した約20人全員について「DCTN1」と呼ばれる遺伝子に変異があることが分かったということです。
はしか(麻しん)予防接種を受けてください・中1、高3生
はしか「中1・高3生、接種して」接種率伸び悩み
若者のはしか流行防止のため、昨年度から予防接種の対象となった中学1年と高校3年世代の接種率が9月末時点で5割前後にとどまることが、厚生労働省の調査で分かったそうです。
独自の取り組みで高い接種率を誇る自治体もありますが、低迷する自治体も多く、都道府県の格差は約2倍に達するもようです。
厚生労働省は「中1と高3世代が無料で接種できるのは来年3月末まで。春の流行前に接種してほしい」と呼び掛けています。
厚生労働省結核感染症課によると、9月末の全国のはしかワクチンの接種率は中1で56.4%、高3で47.6%。
都道府県別で最も高いのはいずれも福井県で中1が84.0%、高3が73.0%。逆に低いのは中1が大阪府の44.1%、高3は東京都の32.4%。都市部で低い傾向が顕著だということです。
身近に対象者のいらっしゃるご家庭は、声かけをお願いしたいです。
献血で糖尿病もチェック
献血で糖尿病もチェック 日赤、09年3月から
日赤は、街頭などで献血した人に無料で実施している血液検査に、糖尿病の疑いがあるかどうかを調べる項目を新たに加えると発表しました。来年3月から始めます。
食生活の欧米化などで患者数が増え、国民的にも関心が高くなっている糖尿病を検査対象とすることで、深刻化する献血者の減少に歯止めをかけるのが狙いです。
日赤は「糖尿病の検査は、これまで献血者からも要望があった。予防には定期的な検査が有用で、健康管理に役立ててほしい」(血液事業本部)としています。
街で献血車をみかけたら、ぜひ、協力したいですね。
あなたは太っている?
「自分は太っている」 男性56%>女性41% 30―50代
オムロンヘルスケアが30―50代を対象に実施した生活習慣に関する調査によると、自分のことを「太っている」と感じている男性は5割を超えたのに対して、女性は4割程度であることが分かりました。
一方で、実際にダイエットに向けて努力しているのは女性で6割超、男性は5割強だったということです。総じて男性のほうが「太っている」自覚はあっても改善の努力は惜しんでいるという結果になりました。
体の状態について聞いたところ「自分は太りすぎ」と「太っている」と回答した割合の合計は男性が56.0%、女性が41.6%だったそうです。
反対に「やせすぎ」と「やせている」の合計は男性が9.9%、女性は12.2%です。ダイエットの必要性については男女とも7割強が「感じている」と回答しましたが、実際にダイエットに向けて努力しているのは女性で62.0%、男性は54.7%でした。
調査は2008年12月26―28日にかけてインターネットで実施。30―59歳の男女1200人が回答しました。
